steering / ステアリング・ハンドル周り

2005/8/5

ZETA/RXクランプキット (テーパーバー用ハンドルクランプ)

  • ◇ このパーツの満足度 → 75/100
  • ◇ 取り付け難易度 → 普通(付随する作業の量が多く面倒ではある)
  • ◇ 取り付けに必要な特殊工具および加工 → 通常は必要なし(今回はグラインダーを使用してボルトのヘッドを切削加工した)

テーパーバーはハンドル単体では装着できない

テーパーバー(テーパーハンドル)はクランプ部のパイプ径がノーマルハンドルより太いため、DT純正のハンドルバークランプにそのまま装着することはできません。

テーパーバーを装着するための主な方法は、次にあげる3つです。

  • 1. トップクランプごと社外品に交換してしまう方法…製品のラインナップがある機種で、オーナーにお金さえあれば、ハンドル位置調整機構なども充実しておりますし、見た目も性能も最高の方法です。
  • 2. ハンドルロアクランプを社外品に交換する方法…これも見た目は良いですし、コストパフォーマンスも高くお勧めですが、ハンドルロアクランプが別体になっている、いわゆるラバーマウント方式のバイクにしか適用できません。
  • 3. 既存のロアクランプの上に大径タイプのロアクランプを2丁掛けする方法…こちらは上に載せるだけですのでほとんど全てのオフロードバイクに装着可能ですし、交換作業も楽、コストも抑えられると良いことばかりなのですが、いかにも上に乗っかっています、といった外観や重量増、ハンドル位置が上に載せたクランプの厚さ分だけ高くなってしまうことなどが欠点です。

テーパーバーのクランプ部のパイプ径は一般的にはφ28.6mm前後であり、ハンドルバーもクランプもほとんど全てのメーカーで互換性があります。
中にはφ25などといったひねくれ者も存在するようですが(^^)、私は実物を見たことはありません。
ちなみにノーマルバーのパイプ径はφ22.2mmです。

…と、ここまでは調べましたが、私のDT(3XP3)はハンドルクランプ一体型のトップクランプですので、基本的には3番目の方法を採るしかありません。
しかしDT200WRは'93モデルの3XP4から、ハンドルマウント方式がラバーマウントに変更されており、この3XP4移以降のトップクランプを使用すれば、2番目の方法を使うことができるのです!
そして偶然にも私は(異なる目的で ^^;)後期型のトップクランプを入手していたので、2番目のロアクランプを交換する方法で、テーパーバーのマウントを行うことにします。

クランプは手頃な値段と入手しやすさから、DIRT FREAKさん取扱のZETA/RXクランプキットに決めました。

ZETA RXクランプキット

…実物を手にしてまず思ったこと。
ジュラルミン削り出しと、ハードアルマイトの質感が素晴らしい!
さすがは made in Japan といったところでしょうか。
これでこの価格(現行品は定価7,140円ですが、こちらはマイナーチェンジ前のもので定価8,925円です)はかなり安いかも?と、思わせる程の質感です。

ただ、ボルト類が全てスチールにニッケルメッキで、露出しているハンドル周りではすぐに錆びてしまいそう…こちらはステンレスキャップボルトと交換ですね。

ロアクランプボルトの長さ

もう一つ気になったのは、ハンドルロアクランプを固定するボルトがなぜか無用に長い(80mm)ことです。
上の写真の左がキット付属のボルトですが、これでは装着したときにトップクランプの下からボルトが飛び出しているのが見えてしまいます(-_-#)
そのため、ボルト、ナット類をステンレスにするついでに、ロアクランプボルトもステンレス製で、長さを短いもの(写真右)に変更することにしました。

…ところが問題発生です!
クランプを固定するボルトのヘッドが、一般の12mmのボルト(ヘッドの二面幅は19mm)のサイズより小さい(二面幅17mm)ではありませんかヽ(`Д ´ )ノ ウワァァァァン
いわゆる「六角小形ねじ」と呼ばれるものです。
ロアクランプ側は、回り止めになるようにぴったりの幅で作られているため、通常の二面幅19mmのボルトではロアクランプにはまりません。

しかしこれはさすがにホームセンターには置いておらず、どうしようかと思案。
ネットのネジ通販でも私の希望する長さ60mmというサイズはなかなか見つからず、最後の手段として普通サイズのステンレスボルトのヘッドを削って強引に嵌め込むことにしました。
加工は自分でやるか、ショップに任せるか…悩みます。

作業手順

当初は、これほど厚みのあるステンレスを削ることができるか不安で、やはり専門家にお願いしようと思っていましたが、たまたまホームセンターに立ち寄ったときに工具コーナーを覗いてみると、なんと「ステンレス用」なる100mmのディスクグラインダー用ディスクが売られているではありませんか!?…これはつまり、個人でも加工可能ということですよね?(笑)

というわけで手持ちの安物ディスクグラインダーとバイスを使い、挑戦します。

実際に加工してみると、やはりアルミを切るときのようにはいきませんが(^^;)、少しずつ気長に削っていけば大丈夫です。

クランプボルトヘッド加工ボルトヘッドはこのように…

完成です。これでぴったりはまります(^‐^)

ついでにトップクランプに取り付ける際のナットやワッシャーもステンレス製に交換してしまいましょう。
ただしロアクランプナットについては、ダブルナット ⇒ シングルナットでの固定へと変更されることに伴い、セルフロッキングナットもしくはUナット等に交換した方がよいと思われます。
私はステンレスのUナットを見つけて使っていますが、315円/1個となかなかのお値段でした。

それではクランプキットの装着に入ります。
トップクランプの交換に伴い、メインスイッチの取り外し作業が必要になるため、まず、

  • 1. ライトカウルを外してハーネスからメインスイッチに至る配線を外しておきます。
  • 2. そのまま黒いU字形のライトカウルステーも外してしまいましょう。
  • 3. 次にハンドル交換のため、ハンドルについているケーブル類を全て外し、
  • 4. ハンドル本体も外してしまいます。
  • 5. ボルト類を緩めてトップクランプを外します。

トップクランプを外す

  • 6. 後期型のトップクランプにメインスイッチを移植します。
  • 7. 今度は先程と逆の手順でクランプを取り付けていきます。
    (※ハンドルロアクランプを別体式のラバーマウントタイプに変更したため、ナットで締め付けなくてはならないのですが、サービスマニュアルには(補足版にも)締付けトルクの指定がありません。
    近い年代のYZ(3XJ)のサービスマニュアルを参照すると、ラバーマウントでサイズが12mm(つまりDTと同じ)のハンドルロアクランプの締付トルクが4.0kgmで指定されていたので、これを参考に私のDTも4.0kgmで締め付けることにしました。
    ロアクランプボルトは、最初は仮止め程度にしておいて、ハンドルを本組みしてからロアクランプボルトを本締めするようにすると取り付け時の歪みが少なくなるようです。)
  • 8. あとはハンドルを組み付けて、外したものを元通りに取り付ければ完成です!

全体像トップクランプ+ハンドルバークランプを拡大

ZETA RXクランプキットの質感が大変良いため、バーパッドを付けなくとも見栄えがよいです。
逆に、バーパッドを付けてしまうとクランプキットは全く見えなくなってしまいます…。

あとがき

実は私、上に載せるタイプのテーパーバー用クランプも以前購入していたのです。「WRPテーパーハンドル用アダプター」という製品です。

トップクランプを外す

非常に軽く、作りもまずまずで、取り付けたときの外観にも違和感が生じにくい形状です。
純正のクランプの上にテーパーバー用のクランプを2段掛けするアダプターの場合、ハンドル位置が高くなってしまうのが弱点なのですが、この時点ではそれはむしろ歓迎でした。
しかし思わぬところに難点が…。

ハンドルクランプの幅が広くなったせいで、バーパッドが付けられません!
バーパッドの内側を削ってしまえば入りそうなものなのですが、私が付けたかったバーパッドの場合、削ってもギリギリ×でした。
バーパッドはどうしても装着したかったので、結局この製品はオークションで売り払い、現在装着しているZETAの製品を代わりに購入したのでした。

無駄な費用と時間をかけてしまいましたが、軽量化という面では、クランプを2段掛けにするタイプよりも、ロアクランプごと交換するタイプの方が部品点数も少なく、材質も(多分)上質でしょうからその分軽いはず…!?
と自分で自分を慰めていたのですが、なんとこれさえも見事に裏切られました(-_-#)
その原因は後記型(3XP4.5)用トップクランプにあります。
こいつが前期型よりもかなり重いのです!(詳細)その理由は、

前期(3XP1.3)用トップクランプ裏側後期(3XP4.5)用トップクランプ裏側

このように、後期型トップクランプはラバーマウントに対応させるため、裏側の肉抜きが不十分!ヽ(゚Д゚ )ノ ゴルァ!!

ブリッヂ部の肉抜きが特に著しい

一方、前期型のトップクランプは、ブリッヂ部裏側にまでかなりの肉抜きが施されています… ┐( ´ー`)┌

◇ 2006/1/28 更新

ハンドルクランプ&トップクランプの重量比較表(純正比)を別途掲載しました。
興味のある方は是非ご覧ください!