2017/07/30
約2年ぶりの更新になります。
そして久しぶりの更新早々残念な報告をしなければなりません。エンジンを焼き付かせてしまいました。
7/24、所用で病院に向かう途中でした。
通勤時間帯の片側3車線道路を走行中、突然エンジンが「むむむむぅー」と一唸りして急停止。
ガス欠?電装系のトラブル??
反射的にクラッチを切り惰性で流しつつ、何とか路肩に寄せて停車しましたが、燃料タンクにはまだ十分にガソリンが残っており、燃料コックも「RES」(リザーブ)の位置にあります。
他に原因は見当たらず、とりあえず再始動を試みると…キック1発であっさりエンジン始動。アイドリングも持続します。
不安に駆られながらも再び走り出すと、またすぐに同じ症状が出てエンジン停止ヽ(`Д ´ )ノウワアアアン
近くの駐車スペースまでDTを押し歩きました。クラッチを切っているのにホイールの回転がやたらと重い…そしてギアをニュートラルに入れると軽くなります。これはただ事ではない。
すでにピンと来ている方もいらっしゃると思いますが、エンジンの「焼き付き(抱き付き)」の典型的な症状です。軽い焼き付きの場合、少し冷えればアイドリング程度なら普通に回ってしまうそうで(-_-;)
思い当たる節は…キャブセッティング、エンジンオイル…
そういえば、春に足したオイルは昨年の使い残しで、缶の半分以下の量でした(-_-;)
それにしてもこんな理由で遅刻したら、会社から何を言われるか分かりません。
とりあえずその場にバイクを置いて、タクシーを拾って病院に急行しました。
用事を済ませた後、すぐにレッカーを呼んで実家に入庫。
運ばれていく様子は寂しくもあり、少し可笑しくもあり…複雑な気分です(^^;)
ちなみにレッカー費用は約25,000円でした。(JAF未加入)
まずは事故らなかっただけでも良しとしましょう。
自宅にはバイクを分解するスペースが無いので、実家での作業です。
キックは手で下ろすことも可能です
軽度の損傷ならよいのですが…。
まずは外装及び燃料タンクを外していきます。
手始めに、タンクを取り外すため燃料コックをOFFの位置にしたところ、
コックレバーの付け根から、ガソリンが結構な勢いで漏れてきましたヽ(`Д ´ )ノ
症状として、
ことから、コック内部のOリングの劣化でしょう。
この場合、DT200WRでは燃料コックアセンブリの交換となります。
(燃料コック本体の取り付け部分からの漏れなら、ガスケット単品で純正部品が出ます)
ちなみに燃料コックassy.はまだ純正部品が出て、4,007円(税込)(2017.08.14現在)でした。
今のことろOFF以外の位置では漏れないことと、汎用品のOリングを用意してDIYで組み込んだ方もいるようなので、費用対効果の観点からもう少し検討してみます。
一通り外装を取り外しました。
続いて、冷却水の抜き取りを行います。
ただドレーンボルトを抜いただけでは、冷却水はなかなか抜けません。
ラジエーターキャップを外すと、ラジエーター内に空気が入り、勢いよく抜けます。
…が、おそらく予想を超える勢いで噴出するので注意してください。
チャンバーを外します。
チャンバー本体に錆が浮いています。
しばらくまともなメンテナンスをしていなかったこともあり、各所の劣化が進んでいます。
エンジンマウント(シリンダーヘッドとの連結)を外します。
YPVSを取り外します。
まず、ワイヤーを最大限に緩めます。
モーター側のタイコを外します。
…なんと、ワイヤーが切れかかっていますヽ(`Д ´ )ノ
ワイヤーの種類にもよりますが、タイコの根本が切れるケースが多いようです。。
こちらもワイヤー単体では販売しておらず、 → 単体で販売されていました(パーツリストの「1.シリンダ」のページに記載あり)。
パーツナンバーは3BN-1133F-00、2017.09.02時点でメーカー在庫あり税込1,858円でした。
ちなみにYPVSモーターをアセンブリで交換する場合は、こちらも在庫はあるものの、税込26,784円と高額です。
YPVSモータ本体を取り外すと、
シリンダーヘッド周りへアクセスできるようになります。
シリンダーヘッドを取り外す前に、キャブウォーマー配管及び冷却水ホースを取り外します。
ヘッドボルトにレンチ(ソケット)を掛けるため、冷却水のボルトユニオン(継ぎ手)の角度を変える必要がありました。
(ユニオンボルトはガスケットでシールされています。組付け時に新品に交換するのを忘れずに)
いよいよシリンダー内部の御開帳…
シリンダヘッドは…
焼き付きによる損傷は見られません。
しかし、2stエンジンでよく見られるスパークプラグへの付着物(デポジット)が尋常でないくらい堆積しています…(゚Д゚;)アワワ
(エンジンオイルに添加しているZOILの影響もあるのかも)
ピストンヘッドは軽くカーボンが堆積している程度で、こちらも目立った損傷は見られません。
シリンダー内部は…
(↓排気側)
(↓吸気側)
目視確認できる範囲では、強く当たりが付いた程度ですが、排気ポートからピストン側面をチェックすると…
強く「かじった」ような痕跡が見られます。
シリンダを取り外して確認しましょう。
シリンダを固定している4個のナットを取り外します。
シリンダを抜き取る際に、右ラジエターとクランクケースを連結する冷却水ホースが邪魔になるので取り外します。
スチール製冷却水配管のステーとの連結(YPVS右側蓋と共締め)も外します。
ちなみに私は、YPVSの整備をしやすくするため、ステーを切断してしまっています。
冷却水ホースを抜き取るには、ラジエーターを取り外す(※完全に外す必要はなく、フリーにするだけでOKです)必要があります。
最低でも、ステーの固定と、
左右ラジエーターを連結するパイプの取り外しは必要です。
なんと、リザーバータンクの固定ボルトが脱落(そもそも付け忘れ?)していました(^^;)
なお、シリンダーが固着している場合は、
プラハンでごく軽く小突いてやります。
シリンダーを外す際は、冷却水や土(ガスケットの隙間に結構な量が詰まっているので要注意)、ガスケットのカスなどがクランクケース内に落ちないように注意してください。
また、保管中に埃や水分が侵入しないよう、ケースの隙間に紙タオルを詰め、ビニールを被せておきました。
まずはピストンの状態から確認。
↑排気側はそれほどひどくはありませんが…
↓吸気側の状態はかなり深刻です。
凝着摩耗(熱かじり)の跡が痛々しい…。
続いてシリンダー内壁の状態です。
まずは排気側から…
↓排気側(全体)
↓排気側(上部)
↓排気側(下部)
比較的軽傷と思っていた排気側も、ピストン側面が直接摺動する部分に熱かじりを起こしています。
続いて、より重症と思われる吸気側…
↓吸気側(全体)
↓吸気側(上部)
↓吸気側(下部)
程度の差はあれ、吸気側、排気側ともに熱かじりを起こしており、耐水ペーパーで軽く均して修正完了、とはいかなさそうです。
ただ感触的には、シリンダーのめっき層をえぐるまでの傷では無いように感じます。
とはいえ、ミクロン単位の精度が求められるシリンダーですからね。素人の私が研磨して再利用するには、少々リスクが大きいです。
とりあえず実験的に、シリンダに溶着したアルミを何らかの方法で剥がしてみようと思います。
ちなみにシリンダーはメーカー在庫があり、価格は税込みで56,916円(2017.08.14現在)でした。
普通に考えたら、単気筒エンジンのシリンダで6万円弱は高価なんですけど、まだ部品が供給されている事実に感動したせいか、不覚にも「意外に安い」と思ってしまいました(^^;)
部品取り車を購入してパーツを引っ剥がしてもいいのですけど、25年落ちのDT200WRの場合、シリンダの状態の良いタマはもう期待できないので、多少高くついても新品パーツを購入する予定です。