2009/08/08
クランクケース交換に向けての第一歩、まずは車体からエンジンを下ろします。
DTのエンジンass'yは軽いので1人でも下ろすことができますが、安全面なども考慮し、複数人で行うことをお勧めします。
裸になる前のDTです。
まずはエンジン着脱の邪魔になる…
パーツを取り外すたびに出るネジ類の管理は…
チャックつきの小袋に小分けにして、取り外した元のパーツに留めておくと紛失しませんし、どのパーツから取り外したモノかもすぐに分かるので良いですよ。
ネジ類の管理は大切ですからね(笑)
(悪夢が蘇る… -_- )
場合によっては、ドレーンを弛めても冷却水がほとんど出てこない、または全く出てこないこともあります。
そんな時は、ラジエーターキャップを開放すると…
一気に抜けます。が、
今度は予想外の勢いで放出されることがあるので注意してください(^^;)
(※管理人は今回の不具合点検時に既に済ませています)
ギアオイル交換作業についてはこちらをご参照ください。
なお、廃油および冷却水の処理は、行きつけのガソリンスタンドにお願いすると良いと思います(^^)
さて、このあとはエンジンを車体から分離するため、各種パーツおよびマウント類の取り外しや、ホース、配線類の切り離しなどを進めていきます。
プレシャスファクトリーチャンバーは取り回しがノーマルとは異なり、少々外しづらいです。傷をつけないように慎重に作業します。
作業の詳細はこちらです。
といっても完全に取り出す必要はなく、アクセルワイヤーなどは繋いだままでもOKです。
ただ、エアクリーナジョイントの類は、エンジンを車体から抜き取る際に邪魔になるので、横着せずに取り外してしまった方が良いでしょう。
キャブの着脱作業はこちらを参考に。
キャブ〜オイルポンプ間のオイルパイプは抜かずに、この段階でオイルポンプごと取り外しました。
細いパイプなので、中のオイルは表面張力で流出せずに残ると思いますが、再装着の際は念のためホース内のエア抜きをした方が良いかもしれませんね。
オイルタンク〜オイルポンプ間のホースは本体から抜き取り、栓をして、オイルタンクよりも高い位置に固定しておきます。
中に残っているオイルが流れ出すので、ポンプ本体を外す前に受けのウエスなどを準備しておきましょう。
取り外したポンプ本体にはビニール袋などを被せて、ゴミ・ほこりの進入を防止します。
オイルポンプ着脱の詳細はこちらを参照ください。
キャブウォーマーの配管も忘れずに外します。
特に初めての方は、2本(入出)ある配管の区別がつかなくなる恐れがあるので(もちろん私もその1人でしたが -_-;)、外す前の状態を写真などに残しておきましょう。
またここに限らず、取り外す全ての配線・配管の取り回しを作業前に記録しておくことをお勧めします。
サービスマニュアルに「ケーブル、ワイヤ、パイプ通し図」というのがありますが、記述がないものも結構あります。少々面倒に感じるかもしれませんが、何事も「備えあれば憂いなし」です(^^)
これでキャブ周りの作業は終了です(^^)v
エンジンとの分離はワイヤーのみでOK。作業はこちらを参考に。
エンジンを車体から下ろす時に邪魔になるので、サーボモーター本体も外しておきます。
前側(左)は水色線のギボシ端子と白色線のカプラーを、後ろ側(左)も同じく白色線のカプラーを外します。
また、配線をフレームに固定しているバンドなども弛めて、配線自体をフリーにしておきます。
サービスマニュアルではエンジン着脱の際のラジエーターの取り外しが指示されていますが、単にエンジンを下ろすだけであれば、左はもちろん、右さえも取り外す必要はありません。
右ラジエーター本体の、フレームへのリジッドな固定のみを解除して、
ここの配管を外せばOKです。
あとはシリンダーヘッド上と、左ラジエーター下のホースも忘れずに抜いておきましょう。
チェーンスライダーを一杯まで締め込んでチェーンに余裕を持たせ、スプロケットを外します。
また、チェーンを外すとリアタイヤが不安定になるので、リアアクスルシャフは軽く締め込んでおきます。
…見るたびに心が痛みます(;_;)
マスター自体はエンジン取り外しの邪魔にはなりませんが、ブレーキペダルを抜くため、取り外します。
ペダルシャフトを固定しているネジを抜いたところ…
脱落防止のための割りピンが脱落していました…(-_-;)
単に前回の作業の際に入れ忘れただけかもしれません(^^;)
エンジンマウントの位置は3箇所(後ろ下、前、上)+ピボットシャフトの4点です。
まずは後ろ下のエンジンマウントボルトを弛めて抜きます。
次にピボットシャフトを抜きます。
ピボットシャフトはリアアームも支えているので、完全に抜いてしまうとアームが脱落します。
エンジン後端部を過ぎてアーム右側のみを残す位置まで抜き、シャフトが通っていない左側にシャフトの代用となるボルト等を差し込んで支えます。
ピボットシャフトが強固に固着して、全く抜けないときは…
浸透潤滑剤を注入し、棒状の物をシャフトの頭に差し込んで、ハンマーでひたすら打ち抜くしかありません。
前回腰下OHした時は管理人のDTがまさにそれでした。
ピボットシャフトが曲がったり、場合によってはフレーム自体が歪んだりする恐れもあるので、本来はこのような行為は厳禁ですが、他にどんな手段があるかというと…特に良い方法は思い浮かばず、どなたも最終的には「これしかない」という結論に達するのではないかと思います(^^;)
スイングアーム切断(!)という最終手段もあるそうですが…( ̄ロ ̄;)
フロントはマウントボルトだけでなく、ステー(マウントプレート)も外してしまった方が良いでしょう。
車体からエンジンを取り出す際に引っ掛かり邪魔になりますし、ステーの固定ボルトは左右クランクケースの結合も担っているので、この後のエンジンOHの際に外し忘れたままクランクケースを分割しようとすると…ケースを歪ませてしまう恐れがあるからです。
またサービスマニュアルには、エンジン上部のマウント(シリンダーヘッド〜フレーム間の固定)についての記述が一切ありませんが、もちろんここも外さなくてはなりません。
ボルト3本で固定されており、ネジロック剤が塗付されているのでなかなか固いです。
全てのエンジンマウントを切り離したら準備完了!あとはエンジンを下ろすだけです。
DTのエンジンは軽いので、成人男性であれば1人で下ろすことも可能です。ただ腰に悪いですし(笑)、万が一のことも考えられるので2人がかりで作業することを勧めます。
1人で行う場合は、左手でキックレバーを握り、右手はシリンダーのYPVSカバー辺りに指を引っ掛けて持ち上げるとバランスが良いですよ(^^)
進行方向に向かって右側からエンジンを取り出します。
エンジンを抜かれて空っぽになったDTのフレームです。
今回は撮影しながらの作業のため、ほぼ一日がかりになりましたが、通常は1〜数時間程度で完了できる内容かと思います。
このあとはエンジン分解です(^^)