2009/04/19
エンジンオイルの飛散を少しでも抑えようとサイレンサーのグラスウールを交換しましたが、リア周りの汚れは相変わらずです(-_-;)。
少しくらいオイル過多の方が、エンジンの焼き付きに対する安全マージンが広くなるとはいえ、オイル汚れのせいで使用用途が限られてしまう(仕事着や一張羅で乗れない…)のでは意味がありません。
根本的に解決するため、オイルポンプを交換することにしました。
なお交換後は、取り外した使用済みのポンプを分解してオーバーホールの実験台にするつもりです。
OHできるようになれば新品ポンプのメーカー欠品にも対応できます。実はこれこそが、今回の作業の真の目的だったりします(^^)。…いえ、エコロジーの観点から…です(嘘)
単純にオイルポンプ本体を交換するだけであれば、クランクケースを割ったり、ギアオイルや冷却水を抜いたりする必要はありません。作業自体は簡単で、初心者でも問題なく行えます(^^)
とりあえず新品のオイルポンプとガスケットを注文しました。
価格はポンプass'yが13,125円、ガスケットが65円でした。
エア抜き用のドレーンボルトのガスケットはオイルポンプass'yに含まれていますが、なぜかしっかりと締め込まれているため、サービスマニュアルに従えば、本体装着後のエア抜きの際に再度交換する必要があります。(YAMAHAも無意味なことをするなぁ -_-;)
最初からかどうかは忘れてしまいましたが、少なくとも今回付属してきたガスケットは紙(プラスチック?)製のため、必ず毎回交換しましょう。
オイルポンプ本体です。
エンジンから分配、伝達された駆動力が右上写真中央のパイプ内のギヤを回転させると、ピストンが上下にストロークして、エンジンオイルが押し出される仕組みになっています。
ピストンのストローク量は、黒い円盤上の「プーリー」の位置により制限されています。
プーリーはアクセルワイヤーにつながれていて…
アクセルワイヤーに引かれる(アクセルを開ける)とプーリーが回転して位置が下がり、ピストンのストロークが大きくなる⇒オイル吐出量が多くなるように設計されています。
ポンプのオイル吐出量はアクセル開度のみに連動して決まることから、キャブセッティングが濃い=エンジンオイルが濃いということにはならないことが分かります。
また、このピストンのストローク量は、サービスマニュアル上の「ストローク」と同義であり、特にアイドリング状態などプーリーが動いておらず、ピストンの上下動幅が制限され、最も小さくなっているときのストローク量を最小ストロークと呼んでいます。(…はずですが、間違いでしたらご指摘をお願いいたします。)
最小ストロークはオイル吐出量の基本値です。この幅が基準値(0.20〜0.25mm)を超えて大きくなると全域で吐出過多となり、管理人のDTのようにオイル燃費が悪くなったり、未燃焼のオイルでリア周りが汚れたりするようになります。
ちなみに新品ポンプの最小ストロークは0.22mmでした(^^)
前置きが長くなりましたが、実際の交換作業にかかります。
オイルポンプカバーを外します。
ポンプ本体が現れます。
ガスケットはオイルシールではなく、ダストシール的な役割を担っているだけのようです。
サービスマニュアルでは毎回交換が指示されていますが、用意できない場合は再利用しても問題無さそうです。
今回は取り外し時にガスケットが千切れてしまったので交換せざるを得ませんでした(^^;)。
当時のものは現行品とは違い、厚みのある独特な素材が使われています。
現行品は一般的によく見られる薄い紙タイプのガスケットに変更されています。
次にホース2本とアクセルワイヤーを抜き取り、ポンプ本体をフリーにします。
オイルタンクからつながるメインのパイプには栓をしておきましょう。
ポンプ〜キャブレーター間の細いホースも取り外します。
ホース抜け止めのクリップは、ラジオペンチなどを使用して丁寧に外しましょう。
ピン2本を抜き取り、アクセルワイヤーも取り外します。
プーリーを指で回し、アクセルワイヤーを弛ませてタイコを外します。
これでオイルポンプを取り外す準備が整いました。
ポンプ本体は2本のねじで固定されています。
取り外し前に、ポンプの下側にオイルを受けるウエスなどを当てておきましょう。
ポンプを外した瞬間、本体内部に溜まっていたエンジンオイルが一気に溢れ出てきますヽ(`Д ´ )ノゥォォォ
貼りついた古いガスケットをきれいに剥がして、ポンプの取り外しは完了です。
新しいポンプとガスケットを装着します。
続いてホース類を接続し直しますが、その前にポンプカバーガスケットを通しておいてください。
構造上、後から通すことはできないので(笑)
オイルタンクから延びるメインホースを接続したら、まずエア抜きを行います。
ドレーンボルトを弛め、気泡を含んだオイルが出なくなるまでオイルを垂れ流します。
私が行った今回は、エア噛みはほとんどありませんでした(^^)
残るは、ポンプ〜キャブレーター間をつなぐ細いホースの接続ですが、ここはただつなげばいいというものではありません。ホース内が空のため、このままエンジンを始動すると、ポンプからキャブにエンジンオイルが送られるまで、潤滑油無しの状態でエンジンを回すことになります。
これを回避するには、
の、どちらかしかありません。
一番早くて確実なのは混合ガソリンを作ってエンジンを回すことですが、今回はタンク内にガソリンがほぼ満タンに残っており、作業後の混合ガソリンの処理に困るので止めました。
仕方なく2.の、「エンジンに火を入れずにエンジンを回す」⇒キックレバーを踏み下ろしてオイルを送り出そうと試みますが…実際にやってみると5〜6回のキックでやっとポンプが1ストロークする程度(-_-;)
1分間に何千回転もするエンジンですから、この程度の回転でオイルがドバドバ出てもそれはそれで困るのですが、100回程キックしてもオイルはほとんど動かず(-_-#)
ホースの先からオイルが出るまで…となると時間的に途方も無く、またキックスターターの耐久性にも悪影響があると思われます。
何か別のいい方法はないかと考えた末にたどりついたのは…
その名も「吸い込みぶっつけ攻撃」です(笑)
どのような攻撃?かは、みなさんの想像にお任せしますが…想像がついても真似しないでください(笑)。
2stエンジンオイルは有毒です。管理人が試した時は、口の中に少し入ってしまいました(-_-;)ォェ
この攻撃?により、ホース内をエンジンオイルでほぼ満たすことができましたが、ホースの先端まできっちりオイルを送るため、前述したキックで地道に送る方法を併用します。次はその準備にかかります。
シリンダー内の圧縮を抜くため、スパークプラグを取り外します。
ついでにスパークプラグの状態も見ておきましょう。
…少しかぶっていますね(^^;)。プレシャスファクトリーチャンバー向けのセッティングももう少し詰めなくてはならないようです。
ピストン潤滑のため、プラグホールからシリンダー内にオイルを少し垂らしてください。
シリンダー壁全周に沿うように垂らすことができればそれに越したことはありませんが、プラグホールが小さいので難しいと思います。シリンダーは前側に傾いているので、シリンダー壁後方に塗付し、ピストンリングを伝って前方まで流れてくるのを待ちましょう。
あとはオイルポンプのストロークを最大にして(最大開度でプーリーを固定して)、シュコシュコとキックレバーを下ろし続けます。
先端までオイルが届いたらホースをキャブレーターに差し込み、プラグを再装着して、オイル充填作業は完了です。
アクセルワイヤーやピンを元通りに取り付けて、
オイルポンプの合マーク調整を行います。
エンジンを始動し、アクセルをゆっくり開けて、エンジン回転数が上がり始める位置、つまりアクセルワイヤーの遊びがなくなる位置で合マークを合わせます。
ワイヤーを張る方向に調整すると、吐出量が増え始めるポイントが早くなり、緩める方向に調整すればその逆になります。つまり、合マーク調整をダルにすることで、アクセル中開度でのオイル吐出量を見かけ上減らすことができるのです。
ただし、合マーク調整では吐出量が変化するタイミングだけが変わり、ポンプのストローク量の最大値と最小値が変化することはありません。
私のマシンのように最小ストロークが大幅に狂ってしまうともはや対処しきれなくなるので、オイル吐出量の調整手段としては気休め程度にしかならないでしょう。
…それにしても納得できないのがDT200WRのオイルポンプの合マーク調整の不可解さです。
マニュアルを見る限りでは、合マーク調整とは、「プーリーに彫られた『・』(点マーク)と『|』(棒マーク)の中間と、ガイドピンの中心とを合わせること」と読めるのですが、YAMAHAがあえて2つの異なるマークを刻印した理由がわからず、すっきりしません。
単純にマーク1つで、そこに合わせるようにすればいいだけじゃん!と思うのは私だけでしょうか(^^;)
それとも何か別の意味があるのでしょうかね。2つのマークの間が調整範囲とか??
最後にオイルポンプカバーを取り付けて作業完了です!
オイル汚れとオイル消費量の状変化については実際にしばらく走行した後、改めて報告します(^^)
オイルポンプを交換した直後にクランクケースを破損させてしまい、その効果を確認できずにいましたが、ケースの修復が完了したところでさっそく検証してみました。
車体をきれいに磨いてから走行していますが…
とりあえずサイレンサー排気口付近はお世辞にもきれいな状態とは言えません(-_-;)
リアフェンダーの状態を、走行前と比較してみましょう。
(左画像は走行前、右が約100km走行後のリアフェンダー)
うーん、普通に飛んでいます(-_- )。交換前より減ったかどうかも分からないくらい飛んでいますヽ(`Д´ )ノ
ちなみに交換前のオイルポンプの最小ストロークは0.27mmでした。(今回交換した新品は0.22mm)
街乗り&私の下手くそなアクセルワークがかなり影響しているとはいえ(^^;)、この様子では、最小ストロークを許容範囲下限の0.20mmまで切り詰めても、オイル飛散を抑制するのは厳しいかもしれませんね。
期待していた結果が得られず残念ですが、まあ、2stの宿命と諦めて(笑)当分はこのまま乗り続けます。
もしかすると、今はチャンバー内に溜まっていたオイルが噴き出しているだけなのかもしれませんし。(都合良過ぎか ^^;)
ただ、最小ストロークの切り詰めについては、ちょっと面白い方法を思いついたので(^^)、時間があれば挑戦したいと思っています。オイルポンプのオーバーホールもですね。
オイル燃費に改善がみられるかはまだ検証中で、結果が出るのはもう少し先になりそうです。