engine / エンジン関係

2009/08/19

クランクケース交換〜腰下オーバーホール vol.7 (クラッチ等の組み付け)

シフトシャフト、キックスターター、クラッチ等の組み付け

シフトシャフト、バランスウェイトギア・ドライブギアおよびキックスターターを装着し、クラッチを組み付けます。

シフトシャフトの組み付け

まずはストッパレバーを組み付けます。
トーションスプリングとストッパレバーの組み合わせ方を間違えないように注意しましょう。

トーションスプリングとストッパレバーの組み合わせ方(表)トーションスプリングとストッパレバーの組み合わせ方(裏)

左画像が手前側、右画像が奥側になります。

これを下写真の大きな矢印で示した突起に、スプリングコイルの中心を通すように組み付けます。

ストッパレバーおよびトーションスプリング取り付け位置

トーションスプリングのフックが、小矢印のリブ部に当たるように組み付けられていればOKです。

ストッパレバーを固定する締付ボルトには、ねじロック剤の塗布が指示されています。

ロックタイト242(分離可能タイプ)

管理人は「ロックタイト」の分離可能タイプを使用しています。

ねじ山に古いロック剤が残っている場合はきれいに取り除いてから、ねじ部に1、2滴垂らします。

ストッパレバー締付ボルトにネジロック剤を塗布して1.4kgmで締め付け

締付トルクは1.4kgmですが…締め付けには少々コツが必要です。

ストッパレバーをドライバーなどで押さえながらボルトを締め付ける

トーションスプリングの反発力を、マイナスドライバーなどで抑えながら作業するとうまくいきますよ(^^)
曲がった状態のまま無理にねじ込んで、ネジ山を傷めないように(^^;)

シフトシャフトにシリコングリス等を薄く塗布して組み付けます。

シフトがニュートラル以外のときのシフトレバーとシフトカムのダウエルピンの隙間が上下で等しいくなくてはならない

組み付け後はサービスマニュアルに従い、チェンジがニュートラル以外のときのシフトレバーとシフトカムのダウエルピンの隙間をチェックします。
(※六芒星の欠けている一端がニュートラル位置になります)

シフトシャフトにシリコングリスを薄く塗布して組み付け

上図ABで示した隙間が等しければOKとのことですが…

シフトがニュートラル以外のときのシフトレバーとシフトカムのダウエルピンの隙間が上下で等しいかを確認する(上)シフトがニュートラル以外のときのシフトレバーとシフトカムのダウエルピンの隙間が上下で等しいかを確認する(下)

ノギスで0.1mm単位で測定、までは行っておりません。
まあ、目視で大幅にずれているようなことはないので多分問題ないでしょう(^^;)

最後に確認のため、シフトカムを指で回転させてみます。

シフトカムを回転させて動作確認する

少々(かなり?)硬いと思いますが、ノッチ感を伴って回転すればOKです(^^)

バランスウエイトギア、ドライブギアの組み付け

クランクシャフトオイルシールホルダーとカラーを取り付けます。

ベアリングカバーを取り付ける

しかしふと見ると、カラーに何やら怪しい2本の溝?が…( ̄ロ ̄;)

クランクシャフトベアリングカラーに溝が…

グリス溜まりとして最初から彫られた溝......では無いですよね(笑)
これはオイルシールリップとの当たりの痕跡、つまり単なる「磨耗」ではないかと。

新品のカラーが手持ちに無いので、たまたま新品のストックがあったドライブシャフト(ドライブスプロケット)のカラーで比較してみたところ…

ドライブシャフト(ドライブスプロケット)カラーにも同様の溝

同様の溝が2本、使用後のカラーに見られますね。
オイルシールのリップとの摩擦による磨耗であることはほぼ間違いないでしょう ヽ(`Д ´ )ノ
しかし鋼鉄製のカラーがここまで削られるとは、ちょっとした驚きです。

カラーは再使用せずに新品を取り寄せようと思いましたが、部品価格は税込み1,155円也…

逆さにして組み付ければ新品同様(笑)

とりあえず逆さに取り付ければ新品同様、ですよね(笑)

バランスウエイトギアおよびドライブギアを両者の合いマークを合わせて組み付け、ストレートキーを挿入します。

バランスウエイトギアおよびドライブギアの合いマークを合わせて組み付ける

ローターホールディングツールでマグネトを固定し、バランスウェイトギアを5.5kgmで締め付けて、ロックワッシャの爪をウォーターポンププライヤーなどで折り、ナットを固定します。

バランスウエイトギア、ドライブギアの組み付け

最後にドライブギアカバーを装着して、ここでの作業は終了です。
なお、ギアカバーのプラスネジも固着していたので、念のためキャップボルトに変更しています。

キックスターターの組み付け

キックアクスルにトーションスプリング、キックギア、プレートワッシャ、スペーサーを組み付けます。

キックギアass'y

サービスマニュアルに記載のある、キックギアクリップ圧力点検は省略しました(^^;)

次に、キックギアクリップをクランクケースのクリップ溝に合わせて組み付けます。
(※組み付け方を間違えると思わぬ事故を招く恐れがあり危険です。初めてエンジンOHを行う方および慣れていない方は、面倒でも分解前の組み付け状態を記録または撮影しておくことをお勧めします)

キックギアクリップをクランクケースのクリップ溝に合わせて組み付ける

トーションスプリングにテンションを掛けずに、単にはめ込んだだけの状態から…

トーションスプリングにテンションが掛かっていない状態

スプリングのフックを半周くらい時計回りに回して…

トーションスプリングに半周分くらいテンションを掛けて…

キックスプリングストッパ部に掛けます。

キックスプリングストッパ部に掛ける

組み付けに問題が無いことを確認して、キックアイドルギア、プレートワッシャ×2、サークリップ×2を装着します。

キックアイドルギア、プレートワッシャ×2、サークリップ×2を組み付ける

サークリップ類はラジオペンチ等でも無理矢理組み付けることはできますが、専用工具を使用したほうが100倍安全かつ早く作業できるので(笑)、ぜひ揃えてください。
管理人が使用しているのは安物の4WAYタイプですが、それでも作業性は格段に向上しますよ〜(^o^)

※サークリップは面取りされている側をギア側(固定対象物側)に向けて組み付けます

サークリップ組み付け時の注意

固定対象物を、接地面積の大きい「角張っている」側でしっかりと受け止めるためです。
わざわざ面取りする必要性があるのかと疑問に思われるかもしれませんが…これは単に製造工程上の問題で、どうしても一方の面の角は取れてしまうもののようです(^^;)

最後にキックレバーを仮組みして、キックスターターが正常に動作するか点検します。

次はいよいよクラッチの装着に入ります。

クラッチの組み付け

まずはプライマリドライブギアを取り付けます。ナットの締付けはまだ行いません。

プライマリドライブギアを先に組み付ける

コニカルワッシャとプレートワッシャをドライブアクスルに通します。

コニカルワッシャとプレートワッシャ

コニカルワッシャは組み付け方向に注意してください。「反り」の方向が手前に向くように通します。

※コニカルワッシャが変形していると、組み付け後のクラッチの回転が渋くなることがあります。
前回エンジンをOH時した際にこの症状が発生しましたが、まさかこれが原因とは思いもよらず…。
見た目では気付きようもないくらいの微妙な変形でしたが、コニカルワッシャ交換後は何事もなかったかのようにスムーズに回るようになりました(笑)。
この絶妙な「反り」でクラッチの回転を妨げずに、衝撃やたわみを吸収しているのでしょうね。

プライマリドリブンギアcomp.およびクラッチボス、スラストプレートを装着します。

プライマリドリブンギアコンプリートクラッチボス

クラッチホルダーを使用して、クラッチボス締付ナットをロックワッシャと共に7.0kgmで締め付ます。

クラッチホルダーを使用して、クラッチボス締付ナットを7.0kgmで締め付ける

ロックワッシャの爪をウォーターポンププライヤー等で折り曲げ、締付ナットを固定します。

ロックワッシャの爪をウォーターポンププライヤー等で折り曲げる

引き続き、フリクションプレート、クラッチプレートおよびクッションリングの組み付けを行います。

フリクションプレート、クラッチプレートは各6枚で構成されており、フリクションプレートには内径の大きい(細い)ものが1枚含まれています。

内径の大きいフリクションプレート(左)と通常のフリクションプレート(右)

組み付け前にフリクションプレートおよびクラッチプレートにオイルをまぶしておきましょう(^^)

組み付け方は、

1. 通常サイズのフリクションプレートを1枚組み付ける

2. クラッチプレートを1枚組み付ける

3. 内径の大きい(細い)フリクションプレートを組み付ける

内径の大きいフリクションプレートとクッションリングが2層目に入る

4. その隙間にクッションリングを入れる

5. クラッチプレートとフリクションプレート各5枚を、凸部(※下写真参照)を対角線上に6等分して交互に組み付ける

クラッチプレートは凸部を6等分して組み付ける

の順番で行います。
特に難しい作業はありません。順番と方向だけを間違えないように、ゆっくり丁寧に作業しましょう。

プッシュロッドをプレッシャープレート(ハウジングカバー)に組み付けます。

プッシュロッド&ベアリング

ハウジングカバーass'y を、合マークを合わせて装着します。

プレッシャープレートの●印とクラッチボスの●印を合わせて組み付ける

クラッチスプリングとボルトウィズワッシャを2〜3回に分けて、対角線上に0.6kgmで締め付けます。

クラッチスプリングとボルトウィズワッシャを2〜3回に分けて対角線上に0.6kgmで締め付ける

ここで注意しなければならないのが、クラッチスプリングボルトの締付トルクです。
純正のボルトはオーバートルクで締め付けるといとも簡単に伸び、破断します。
私も前回のエンジンオーバーホール時に、不注意からボルトを破断させてしまいました(-_-;)

ただ0.6kgmとなると、ホームセンターで売っているような廉価版のトルクレンチでは対応できません。
バイクの整備では締付トルク0.6〜1.0kgm程度のボルト類が多く登場するので、これを機会に信頼のおけるメーカーの小トルク対応型のレンチを1本購入するのも良いかもしれませんね。

ローターホールディングツールを使用してプライマリドライブギア締付ナットを8.0kgmで締め付けます。

ローターホールディングツールを使用してプライマリドライブギア締付ナットを8.0kgmで締め付ける

これでクラッチ周りの作業は終了ですが......なんと、作業の邪魔になるからと取り外していたシフトシャフトを付け忘れています ヽ(`Д ´ )ノ ウワァァァァン

シフトシャフト付け忘れ…(゚д゚lll)

自分の不注意さは自覚していますが、まさかここまでとは…。正直、自分自身に驚いています(笑)

…再度クラッチ分解⇒組み付けを経て、ようやくクラッチ周りの作業が完了しました(^^;)

紆余曲折ありましたが、これで腰下の作業はほぼ終わりです(^^)v
次はクランクケースカバーの取り付け、そしていよいよシリンダー周りの組立に入ります。