engine / エンジン関係

2018/07/04

YPVSケーブル交換(YPVS調整を含む)

焼き付かせてしまったエンジンの修理中に、YPVSケーブルのワイヤーが切れかかっているのを発見しました(-_-;)

先に見つかった燃料コックからのガソリン漏れとあわせて補修します。

YPVSプーリーケーブル交換

YPVSケーブルは単体で部品発注が可能であり、メーカー在庫もまだありました。

切れかかっているのはYPVSケーブル2本のうちの1本ですが、ゴムカバーの劣化がひどいので2本とも交換します。

値段はかなり上がっていて、「ケーブル プーリー1」3XP-1133E-00が税込み2,052円、「ケーブル プーリー2」3BN-1133F-00が2,138円(2018.6.23現在)でした。

まずはYPVSケーブルとプーリー、モータ本体を取り外します。


(写真は以前の作業時のものです。撮り忘れました)

プーリーが共回りしないように4Φピン(または4mmのネジ・ボルト)を使用します。

↓ほつれかけたワイヤー、

定期的なグリスアップなどを怠るとこうなります…。

ケーブルを交換します。

プーリーカバー側に1,2の刻印及びケーブル側にも2には枝番の「-2」がプリントされているので左右を間違えることは無いと思いますが、念のため1本づつ差し替えました。
刻印以外にも長さが異なる、ナットの色が異なる(黒と銀)などの違いにより判別できます。

ケーブルやモーターのゴムカバーは単体でパーツが出ないので、しっかりケアしておきます。

ケーブルをモーター本体に取り付けます。
タイコの付け根部分にグリスを塗布して、

ケーブル、モータ本体及びプーリーカバーを組付けます。

続いてプーリーを装着します。少しコツが必要です。
まず、ワイヤーを最大まで緩めておく(ナットを締め込んでおく)こと。

そして、YPVSバルブの位置に注意が必要です。

よく見ると、小さな打刻があります。

↑このマークを上にすると…

(排気ポート側から覗いた様子)

YPVSバルブが開く位置になります。

次の画像のプーリの形状と合わせて見ていただくと分かりますが、これが正位置になります。180°逆さに取り付けてしまうとバルブが全開になりません。チャンバーを外さずに作業すると気付かない可能性があります。
…刻印がある方を上にする。それは整備業界の常識かもしれませんが(^^;)、そんなことも知らない私のような素人の拠り所であるサービスマニュアルにも記載されていないので要注意です。

YPVSワイヤーのプーリーへの取り付けは、プーリを裏返した状態でワイヤーのタイコを溝にはめて、

くるっと裏返すと難なく装着できます。

ある程度、ワイヤーを張っておきます。

後で細かく調整しますので、この段階では左右同程度に張っておけば問題ないと思います。

プーリーをYPVSバルブに固定します。
取り外した時と同様、プーリーが共回りしないように4Φピン(または4mmのネジ・ボルト)を使用します。

固定ボルトの締め付けトルクは0.6kgmです。

最後にYPVSの調整(YPVS全開点検)を行います。
具体的には、YPVSモーターの作動時に排気バルブの開度が最大になるように調整する作業です。
DT200WRはバッテリーレス車のため、外部電源から通電して疑似的にシステムを作動させます。

私はワニ口クリップとスピーカーケーブルでジャンパーを自作し、車のバッテリーから直接電源を引きました。

これをコンデンサカプラのメス側(コンデンサではない側=ハーネス側)につなぎます。

端子が奥まっているので、深く差し込まないと通電しません。このワニ口クリップが作業中に外れてしまいショート(車にも被害が及びます!)や感電する恐れがあります。オス端子を別途調達して専用のジャンパーを作ってもいいくらいです。

コンデンサカプラに通電した状態でメインスイッチをONにすると、バルブが「ウィン、ウィン」と往復動作します。動作後、止まった位置でピン穴と切り欠きが一致するように調整します。この位置でYPVSバルブが全開になるそうです。

上側の調整用のナット(アジャスタ)を締め込むとワイヤーが緩み、緩めるとワイヤーが張るので、左右のバランスを取りながら調整します。
あくまでも目的は「全開点検」ですので、私はピン穴と切り欠きの位置にはあまりこだわらず、排気口から指を入れて、YPVSバルブが排気口とツライチ(=全開)になる位置を確認し調整しました。
※結果、切り欠きの位置が僅かにA側に寄りました。何も考えずピン穴で合わせても大きく外れることは無いと思われます。

調整の際は、ワイヤーの張り過ぎに注意してください。張りが緩い分には単にレスポンスが悪くなるだけですが、張りすぎるとワイヤーが切れたり、モーターの動きが妨げられて最悪モーターが焼き付いたりする恐れがあります。

調整が完了したら、ロックナットを締め付けてケーブルの位置を固定します。

なおサービスマニュアルでは、最後にアジャスタナット(上側、8mm)を4分の1回転ほど時計方向(ワイヤーは緩む方向)に締め込んでからロックナット(下側、10mm)を締め付けるようにサービスマニュアルで指示されています。(固定用のナットを締め付けるとねじ山がナット側に引っ張られる⇒ワイヤーが張る方向に動く。とにかく張り過ぎない方向で考えていることがここからも読み取れます)
ナット締め付け後、再度モーターの動作を確認したほうが良いでしょう。

ワイヤーを張り過ぎた時の動作と音の変化を録画してみたので、参考までにどうぞ。

↓張り過ぎた時の音

↓緩めた時の音(※注意:この音が適正かどうかの確証はありません)

また備忘録として、調整後の各ワイヤーのねじ山の位置を撮影しておきました。

ケーブル1側のねじ山の掛かりが若干浅いのが気になりました。

蓋を閉めて作業完了。


(アルミパーツの腐食が進んでいます…)

あとは、冷却水の注入とエンジンオイルの充填作業(※キャブの吐出口までの充填。手作業で(ひたすらキック)するか、混合ガソリンを作るか悩み中…)を行えばエンジンを掛けられます!