2007/1/6
排気に余分な未燃焼オイルが混じる症状の多くは、サイレンサーのグラスウール云々よりも、オイルポンプのオイル吐出量の狂い(濃い状態)によるものです。
しかしオイルポンプの調整は大変難しく、またエンジン焼付きのリスクも伴うため、とりあえず一時凌ぎではありますが自分でできる範囲で対策してみます。
早速交換用のグラスウールを注文しました。
私が使用しているラフ&ロードオリジナルブランドの、R.S.V./Series 2 サイレンサーには専用の交換用グラスウールがリペアパーツとしてラインナップされており、価格は1,785円です。
グラスウール2枚に、スチールウールが1つ付属しています。
2枚入りですが、1枚のサイズは1/2サイズで、1回の交換で2枚とも使用することになります。
しかしそのうちの1枚は極端に密度が低く、ふわふわしていて随分頼りない感じです…。
不良品?では無いですよね(^^;)
※ 作業中は薄手のゴム手袋などを使用してください。特にグラスウールは素手での取り扱いは危険です。肌が弱い人は炎症を起こしたりすることもあるそうです。エンジンオイルも同様です。
サイレンサー本体を車体から取り外し、エンドピースを固定しているキャップボルト2本を抜き取ります。
エンドピースは、「かんな」の原理を応用して外します。
サイレンサーボディ取り付けステーを排気口側からエンジン側に向けて叩き続けると…
このように徐々に抜けてきます。
エンドピースを取り外すとサイレンサーは、サイレンサーボディ、パンチングパイプ+エンドピース、グラスウールの、3パートに分解できます。
…うーん、さすが4年以上ウールを交換していないだけのことはあります(笑)…汚い( ̄口 ̄;)
特にグラスウールは油まみれでずっしりと重い…不完全燃焼どころかほとんど未燃焼と思われるオイルを多量に含んでおり、見た目よりも重症です。指で押すと透明感のあるオイルが滲み出てきます(^^;)
オイルポンプの吐出量が大幅にずれているということでしょうか…早急に改善しなければいけませんね。
これは新品時よりも相当重量が増しているはず......というわけで恒例の、重量比較コーナーです(笑)
今回は新品のグラスウール一式と、使用後のグラスウールの重量を比較して、サイレンサー使用後の重量増を計測します。(※パンチングパイプについたオイル分については誤差として無視しています)
結果は…
より、5000km/4年間使用で、110g重量が増したことが分かりました。
おや、思ったほどの数字ではありませんでしたね。
ただ新品サイレンサーの重量が950g程度ですから、割合では約10%の増加です。
そう考えるとなかなかのものなのかもしれません。
そして下の画像を見ていただくと分かるのですが、新品サイレンサーに元から装着されていたグラスウールと、今回交換したウールはモノが違うようです。
サイレンサー購入時から装着されていたグラスウール(画像右)は一枚物で密度が高く、しっかりしている印象を受けます。(※長期間の使用により変質した可能性もあります)
一方、今回交換用として取り寄せたウールは分割式で、2枚のうち1枚(画像左下)はそれなりに丈夫ですが、もう1枚(左上)は密度が小さくふわふわとしていて非常に頼りありません。
交換用は素材をケチっているのか、何か意図があるのか…。
そんな感じですから、あえて高価な純正の交換パーツを使うよりも、ホームセンターでいい感じのグラスウールを探し出して切り売りしてもらったほうが、安上がり且つ高性能に仕上げられるかもしれません(^^)
さて、交換作業に話しを戻しましょう。次はウールの巻きつけ作業です。
まず、交換用グラスウールに同封されていたスチールウールを、パンチングパイプのエンジン側エンドに巻きつけります。
より背圧の高い、エンジン側エンドのウールの飛散防止が目的でしょうか?
真相は不明ですが、とりあえずパンチングパイプにただ巻きつけただけでは不安定なので、管理人はステンレスワイヤーをその上から軽く巻きつけて固定しました。
この上に、グラスウールを巻いていきます。
グラスウールは長方形の短い辺を横にとり、それを2つ並べました。
より高い背圧がかかると思われるエンジン側に密度の高い方を、そして低い方を排気口側に使用しています。
グラスウールも、単にパイプに巻きつけただけではサイレンサーボディに収納するときにズレてしまうので、とりあえずステンレスワイヤーを軽く巻いて仮留めして…
入り口付近でワイヤーを外しながら、ウールを押し込んでいくようにしてみました。
これでウールの偏りや「めくれ」を、多少はおさえられると思います。
あとはパンチングパイプとエンドピースをはめ直すだけなのですが、これがまた腹立たしいくらいうまくいきません(-_-;)
エンドピースと巻き付けたグラスウールが邪魔をして、パンチングパイプが所定の位置にうまく収まりませんヽ(`Д ´ )ノ
どうしてもうまくいかない時は、パンチングパイプとエンドピースを分離して(排気ノズル付け根の金色の部分にある3本のキャップボルトで止まっています)パンチングパイプのみを先に差し込むようにすると良いでしょう。
ただし、再度両者を組み付ける際に、接合部分に液体ガスケットを塗るなどして隙間を埋めてやる必要があります。
パンチングパイプを差し込むことがでたら、今度は先ほどとは逆の要領で…
上図の赤丸で囲んだ部分、もしくはサイレンサー本体取り付け用ステーを先程とは逆の方向から叩いていくと、エンドピースが嵌まっていきます。
エンドピースが確実に奥まで嵌まれば、あとはボルト2本を締め付けて作業完了です!
これでグラスウールの交換作業は終わりです。すっきりしました(^‐^)
サイレンサーを車体に装着しますが、その前にチャンバーの取り付けボルトを緩めて(取り外して)チャンバーをある程度フリーにしておきます。
これでサイレンサー装着が無理なく楽におこなえます(^^)
ガスケットが入っている排気ポート部のボルトまで緩めてもよいものか悩みますが…DTは再利用可能なガスケットを使用しているので、緩める→締めるを多少繰り返しても大丈夫でしょう。
また、チャンバーとサイレンサーの接続部に液体ガスケットを塗っておくと、排気漏れ(オイル漏れ)をシャットアウトできます。
圧縮比が低い2stエンジンの排気は温度が低く、サイレンサーもそれほど熱くはなりませんが、一応耐熱のガスケットを使用してください。
私が用意したのはスリーボンド製の、ヤマハが純正指定しているものと同種類で品番違いのもの(ヤマハ指定品は1215)です。YSPで薦められて購入しました。
多少性質は異なるようですが、目的と性能は同じだから問題無い、とYSPのメカニックの方は言っておりました。
ただ、税込み1,995円はちょっと高いかな?
ガスケット塗付前に、ジョイント部に残った古いガスケットやオイル汚れをきれいに落としておきましょう。
液体ガスケットは、内側にくる細い方のパイプの先の方に、多目に塗りつけておきます。
それを内径の大きいパイプに差し込むと、余分なガスケットがこそぎ落とされ、必要な分だけが内側に残ります。
また、ガスケットの説明書きには「完全なシール効果が得られるには3日を要する」との記載があるので、エンジン始動は作業後、3日間は待ったほうが良いでしょう。
サイレンサー側にジョイントとバンドを組みつけた状態にして…
サイレンサーを差し込み、
バンドを締め上げれば作業完了です!
※ チャンバーの取り回しやサイレンサー及び車体の個体差にもよると思いますが、モノによっては取り回しがきつくなるケースもあるようです。
私のDTでは、サイレンサーのパイプがサブフレームに見事にヒットしてしまいます…(‐_‐#)
とりあえず厚紙を折り畳んだものを挟んで緩衝材代わりにしています。(燃える!?)
ウール交換前は「バッ、バッ」と耳障りだったアイドリング時の排気音が、交換後は、「ポッ、ポッ」と微かに聞こえる程度にまで静かになりました。
2stオフの排気音(ノイズ)は、そのほとんどがチャンバーおよびエンジンから発せられる音に占められているので、ウール交換後のサイレンサーから出る音は、実質的にほとんどノイズには含まれないレベルにまで低下しています。
一方、排気抵抗の低減によるエンジン性能への寄与については、鈍感な私にはちょっと体感できませんでした(^^;)
それでも軽量化、低騒音化、あとはサイレンサーからのオイル飛散の抑制と、メリットは少なくないので、やはりウールは定期的に交換しましょう(^^)
…ついでに完成状態のサイレンサー全体の重量も計測してみました。
新品状態のサイレンサー重量は950gです。
5000km使用のノーマルサイレンサーの重量が1897gですから、中古のDT200WRのノーマルサイレンサーを、新品のR.S.V./Series 2 サイレンサーに交換すると947g、つまり約1kgの軽量化を図ることが出来るということですね!
これはかなり大きいです(^o^)
今回のグラスウール、パンチングパイプの状態からして、走行距離にもよるとは思いますが、1年もしくは2年に一度はグラスウール交換、そして少なくとも5年に一度はパンチングパイプを交換することをお勧めします(^^)