2004/3/*
2ストロークエンジン特有の吸気系パーツであるリードバルブに、BOYESEN(ボイセン)の「パワーリード」を試してみることにしました。
ボイセンにはカーボンファイバー製の「プロリード」という上位の製品もありますが、カーボン製リードバルブは全般的に割れやすいと聞いたので、今回はスタンダードなFRP製の「パワーリード」を選びました。
もし割れて、その破片がエンジン内部に巻き込まれでもしたら…それこそ大変ですよね(^^;)
パワーリードの着脱には、まずキャブをフリーにする必要があります。
(配管などは繋がったままでも大丈夫です)
あとは燃料タンクを外しておけば、とりあえずはOKでしょう。
キャブにアクセスする際は、
1. Y.E.I.S.チャンバー (エアクリーナージョイントの上にくっついている黒い小さな容器(?)パーツリスト上では「チャンバ、エア2」と呼ばれている) を外します。
2. 次にエアクリーナージョイントを取り外します。
ジョイントの取り外しは少々力技になるかも(^^;)
ジョイントを折りたたむようにして潰し、引っ張り出します。
折癖がつかないように手早く作業を行ってください。
3. キャブとキャブレータージョイントを切り離すと、
キャブがフリーになります。
これでリードバルブを取り外せるようになります。
取り外したあとは、開いたクランクケースの吸気口にウエス等をかぶせておきましょう。
取り出したノーマルのリードバルブass'yです。
このリードバルブass'yから、リードバルブとストッパーを分離します。
これらを固定している小ネジはヘッドがプラスのNo.2と大きめに作られています。
万が一、も許されない場所ですので、締め付けトルクを高くするためでしょう。
ドライバーのサイズをきちんと合わせないと簡単に舐めてしまうので、気をつけてください。
左がノーマルのリードバルブで、右が今回交換するボイセンのパワーリードです。
見て分かるように、パワーリードの方は
ストッパー無しで大丈夫なの!?と心配になる方もいらっしゃると思いますが、ボイセンのリードはリードバルブ自体の強度が高いのでストッパーは不要らしいです。
確かにノーマルと比べると厚みもありますし、素材の強度も高そうですね。
白いリードバルブ → 黄色いリードバルブ → 金属製のガイド、の順に重ね、バルブシートに装着します。
※ リードバルブをエンジンに取り付ける前に、キャブレータージョイントの状態を点検しておきましょう。
ここにひび割れ等があると2次エアを吸い込んでしまい、アイドリングが安定しない、トルク感が無くなるといった症状が出ます。
キャブもオーバーホールして、セッティングも間違っていないはずなのになぜかエンジンの調子が良くならない、と悩んでいる方はまずここをチェックしてみてください。
DT200WRも初期型であればすでに15年以上経過しているので、ゴムパーツはどれもそろそろ限界に近いはずです。
チェックしてみてまだ使用できる状態であれば、劣化予防に市販のゴムパーツ保護用のシリコンスプレーを塗布しておくことをお勧めします。
私が使っているのはHolts(ホルツ)の「ラバースプレー」という製品です。
表面の油分が失われて白っぽく変色したプラスチックやゴム製品に潤いと弾力を与えます。
改良系ケミカルの類は、効果が発揮されているのかどうか今ひとつ良く分からない、怪しいものが多いのですが、これは見た目でその効果がはっきりと分かりますよ。
同様の製品は各社から販売されているので、皆さんの好みのメーカーのものを使用されるとよいでしょう。
(※すでにひび割れを起こしているゴムを復活させられるわけではありません。その場合は素直に新品と交換して下さい)
これが使用前のエアクリーナージョイントで…
これが使用後です。
うーん、この部品は以前に一度塗布済みのため、この画像ではあまり違いは見られませんね(^^;)
・・・・・・リードバルブの取り付け作業に移りましょう(笑)
バルブシートガスケットは新品を使用します。
私は別の作業でごく最近交換したばかりなので再利用してしまいました(^^;)
ガスケット装着の際は、裏表に注意!
グレーのコーキングテープのようなものが貼り付けられている面をクランクケース側に合わせます。
クランクケース合わせ面の微妙な凹凸からエア漏れを起こさないようにするための工夫でしょう。
人によっては、クランクケースの合わせ面に薄く液体ガスケットを塗布する方もいらっしゃるかもしれませんね。
…私は念には念を入れて、キャブレータージョイントとバルブシートの合わせ面にも液体ガスケットを使用しています。
リードバルブass'yとキャブジョイントを0.8kgmで締め付けて、あとは取り外したときと逆の手順で吸気系を組み直して作業終了です。
実を言うとパワーリードの装着はこれが初めてではありません。
最初に装着したのは1年くらい前でしたが、そのときは装着後、極端に調子が悪くなってしまったので、すぐに取り外しました。(全域で濃い症状が出ていました)
しかしその後、リードバルブを純正に戻したにもかかわらず、エンジンの調子は元に戻らないという、原因不明の不調に悩まされるようになってしまったのです(゚Д゚ )ナゼ?
パワリードの装着後に調子がおかしくなった原因…それはリードバルブ以外にありました。
原因はキャブレーターのニードルバルブのOリングの硬化でした。
Oリングがその機能を果たさなくなり、ニードルバルブからガソリンが過剰に供給されて、フロートチャンバー内の油面が上がりすぎてしまったようです。
前回のパワーリード装着時にキャブのオーバーホールを同時に行ったので、そのとき限界に近かったOリングが寿命を迎えたのでしょう。
OH時に気付かなかった自分が情けないです…( -_-)
…まあ、それはさておき(^^;)、原因排除後の正式なインプレッションを。
ただ、デメリットとして
特に私の用途では、このようなシチュエーションに遭遇することが多く、結構気になります。
他社の2stマシンのエンジンに比べてこの不整脈が少ないことが、DT200WRのアドバンテージのひとつでもあるというのに…。
現状では装着するメリットがあまりないので、外してしまうか、このまま使うか、悩みますね…( ー_ー)
ただ、キャブセッティング次第でどうにでもなるかもしれませんし、元に戻すのも面倒なので(笑)、とりあえず装着したままで行くことにしました。
良いセッティングが見つかり次第、またここで紹介したいと思います!
キャブのニードルバルブのOリングには本当にやられました。
実は原因を突き止めるのにほぼ丸一年かかっています。
その間、キャブのOHや、YPVS点検や調整、冷却水のエア抜き、サーモスタットの交換、ピストンおよびピストンリングの交換…と、考え得るありとあらゆる整備を試みましたがまったく原因は分からず(;_;)
しかしある日のこと、もう何度目になるでしょう、またいつものようにキャブのOHをしていたときに、ついにニードルバルブのOリングの硬化(それほど酷いものではなかったのですが…)を発見しました。
「これは…」と思いすぐさま新品を発注しようとすると、なんとこのOリング、ニードルバルブ一式でなければ購入できないことが判明!値段は2,730円也。…Oリング1個のために2,730円!?(゚Д゚ )
もちろんそんなものは買ってられないので、Oリングだけを買うためにホームセンターに足を運びます(^^)
しかし、私が住んでいる地域のホームセンターに耐油のOリングなど置いてあるはずもなく、困って売り場をウロウロしていると、親切な店員さんが声をかけてきてくれて、
「ここに無い物がありましたらお取り寄せしますよ〜(笑顔)」
などと、おっしゃるではありませんか!その言葉に甘え、8φ(8mm)の耐油Oリングを3個発注(笑)
値段は忘れましたがたしか200円くらいだったと思います。
店員さんにはちょっと申し訳ない感じですが、おかげで安く済みました(^^)
早速Oリングを交換してみると…完全復活!
とにかく直ってよかったぁ( ´Д⊂
「耐油」Oリングと記しましたが、キャブレーターに使われるのは、正確には「耐ガソリン」Oリングです。
「耐油」も「耐ガソリン」も、その構成素材はNBR(ニトリルゴム、ニトリルブタジエンラバー)の一種ですが、その種類(組成)が異なります。
以下に簡単にその種類と用途を記載しておきます。
…その他、メーカーが独自に改良を加えて耐ガソリン性をより向上させた素材もあります。
一般的にホームセンターなどで「耐油」として販売されているのはNBRの1種です。
耐ガソリン性の無いNBR1種をガソリンに浸けると…ガソリン成分がゴムの分子間に入り込み、膨張(膨潤)します。
また、単に膨張するだけでなく、材質自体が変質する恐れもあるので、燃料油周りには必ず専用のOリングを使用するようにしてください。
ガソリンが漏れて、エンジンの熱などで引火でもしたら…考えるだけで恐ろしくなります。