suspension / サスペンション

2006/12/30

'99 YZ125フロントサスペンション移植 vol.4 (移植完了!)

  • ◇ このカスタムの満足度 → 95/100
  • ◇ 作業難易度 → 作業だけを見ればそれほど難しくはないが…
  • ◇ 必要な特殊工具および加工 → カラーのワンオフ、ステアリングナットレンチ、トルクレンチ

実装

ついに最終段階に突入です!実際にステム、そしてフロントフォークを組み込んでいきましょう。

まずは、ステアリングステムをヘッドパイプに取り付けますが、その前にベアリング類の清掃と再グリスアップを行っておきます。

テーパーローラーベアリングのグリスアップ

たっぷりとグリスをつけて、手のひらで刷り込むくらいにしたほうが良いでしょう。
グリスアップ前の古いグリス落しについては、ベアリング内に溶剤や洗油が残るのが嫌なので、私は柔らかい布でベアリングのローラーを回しながら丁寧に拭き取る程度にとどめています。

ボールレース(ベアリング受け)側も古いグリスの拭き取りと、多少のグリスアップを済ませておきます。
ボールレースの当たり面のチェックも忘れずに。

ボールレースに当たりが見られる…

私のDTにも、うっすらと当たりが出ておりますが、指先で段が感じられるほどではありませんでした。
段付や打痕、深い傷が見られる場合は、ボールレースを交換しなければなりません。
交換には特殊工具が必要になるようです。
ボールレース自体もパーツリストには載っていないので、ショップで交換してもらうことになると思います。

ステムシャフトをフレームに通したら、まずはアッパーベアリングとボールレースカバーを装着します。

シールリップがめくれてしまわないように確認しながら装着する

ボールレースカバーは、装着時にシールリップがめくれてしまわないよう注意して装着してください。

それからリングナット(DTでいうところの「スペシャルナット」)を仮締めしてステムを固定します。
(本来はリングナットの上下にワッシャが入ります。)

ステムナットを仮締めする

そして、このリングナットを本締めするのですが、'99 YZ125のサービスマニュアルでは3.8kgmで一旦締め付けてから適度に緩めて、今度は0.7kgmで締め付けるよう指示されています。

3.8kgmで一旦締め付けてから適度に緩めて、今度は0.7kgmで締め付ける

3.8kgmで締め付けた後の、緩める量については特に指定されておりませんが、ガタが出るまで緩めてしまっては意味が無いでしょう。
多分、「緩めた位置がちょうど0.7kgmの位置だった」くらいの戻し量が理想だと思います(笑)
そして、0.7kgmで締め付けたから即OK、とはしないで、動きが軽すぎないか、渋すぎないかを実際にステムを動かして確かめてみてください。

私は、

「ステアリングとは、フロントフォークを装着していないステアリングステムだけの状態で、少し傾けるとステムの自重でステアリングが自然に切れるくらいでなければならない」

という某有名モーターサイクル誌の言葉を信じ、それに近いレベルにしようと試みました…
…が、この基準に合わせるとリングナットの締め付けトルクは明らかに緩すぎになってしまいます(-_-;)

まあ、この本のモデル車両は1000ccクラスのスーパースポーツでしたので、オフロードバイクのステアリングステムにそのまま適用できない部分はあるでしょうね。
特に今回はボールレースカバーにDT純正のフルカバータイプの方を流用しているので、オイルシールのフリクションはかなり大きいはずです。
また、ベアリングについても、DTやYZに採用されている「テーパーローラー」タイプは耐衝撃性を重視した形状であり、一般的にフリクションが大きいといわれています。

ですから、DTの場合は

「ホイールは装着せず、フロントフォークをのみを装着した状態で、その自重で自然にステアリングが切れる」

くらいにするのがちょうど良いのではないでしょうか? (saki基準)
(※実はこれでも少し緩いくらいにしなければ、自然にステアリングが切れるまでには至りません。ステアリングの動きを追求するよりも、まずは安全性を優先し、0.7kgm付近で締め付けることをお勧めします。)

また、トップブリッジを装着(本締め)すると微妙にステムベアリングを押し付ける圧力が強くなり、リングナットのみを締め付けたときよりもステムの動きが若干渋くなります。
面倒でもフロントフォーク、トップブリッジの装着と本締めを行ってから、ステムの動きを判断した方が良いと思います。

※リングナット締め付けトルクの計測について

リングナット用のソケットというものもあるらしいのですが、私のようにリングナットレンチしか持っていない人は正確な締め付けトルクを計測できません。
そんなときは、ボルト・ナットの中心から力点までの長さを測り、力点に「秤」を押し付けてトルクを計測するという荒業もあります(笑)

例えばボルト(ナット)の中心から力点までの距離が20cmのリングナットレンチを使い、0.7kgmのトルクで締め付けたいときは…秤は、0.7×5=3.5kgを指していればよい、ということになります。

ただ、締め付けトルクが大きいときは、小型の秤では対応できないので…

人体トルクレンチ1人体トルクレンチ2

このように、大体の感覚を掴んでからレンチを回す、という方法もあるにはあります(^^;)
その他は上記の要領と同じです。

では、フロントフォークの取り付けについて説明します。

まずはフロントフォークをアンダーブラケット、そしてトップクランプに通しますが、アルマイトの傷付き防止のため、事前にフロントフォーク(特にクランプ部)に浸透潤滑剤を吹き付けておきます。

フロントフォーク装着前に浸透潤滑剤を吹き付けておく

気休め程度にしかなりませんが、少しはマシかな?と(笑)
本格的なグリスはいつまでもフォークが滑り、大変危険ですので止めましょう。

…やはり、アンダーブラケットのクランプ部が非常にきつくて苦労します。
マイナスドライバーの先などをクランプ部の「割り」に差し込み、クランプ部を広げてやる必要があります。

クランプを広げてフォークを挿入する

私はその辺に転がっていた鉄製のステーを差し込んで広げてみました(^^)

フォークが通ったらトップブリッジを仮装着して、とりあえず抜けない程度にアンダーブラケットボルトも仮締めしておきましょう。

次に、フォークの突き出し量を決めます。
'99YZ125の標準値は5mmです。
このときの5mmとは、フォークキャップ上面(※減衰力調整機構の突起部分は除く)から測った値フォークキャップ下面からクランプ上面までの距離です。

フォークキャップの下から測って5mm

私もとりあえずはこの標準値に従うことにしました。
この状態でまた仮締めをしておき、いよいよ本締めに入ります。

本締めの順番は、まず、

1. ステアリングナットを締付ける。

ステアリングナットを14.5kgmで締め付ける。

締め付けトルクは14.5kgmです。DTの規定値は10.0kgmですが、大丈夫でしょうか…。ヘッドパイプが歪んだりはしないですよね…(^^;)
(→直接ヘッドパイプを締め付けるわけではないので、14.5kgmでも全く問題はありません。)

2. トップクランプ締付ボルトを本締めする。

トップクランプを2.3kgmで締め付ける

YZの規定値は2.3kgmです…が、私は社外品(プロテーパー)を使用しているので異なります。
プロテーパーの説明書では締め付けトルクは、12ft.-lbs.=約1.66kgmと指定されています。(※ft.-lbs.はフットポンド単位。1ft.-lbs.≒1.356Nm≒0.138kgmです)

…随分緩いような気がしますが、片側3本止めですので大丈夫なのでしょう。
3本止めの場合はまず、中央のボルトを少し締めて、両端を少し締める → 以下繰り返し…で、最終的に全ボルトを1.66kgmで締め付けるようにしてください

3. アンダーブラケット締付ボルトを本締めする。

アンダーブラケットを2.0kgmで締め付ける

ここを、2.0kgmで締め付けて、フロントフォークの取り付けは完了です!

トップクランプ、アンダーブラケット締付ボルトは、規定トルク以上で締め付けてしまうとアウターチューブが変形し、インナーチューブの動きを妨げてしまいます。必ずトルクレンチを使って締め付けましょう
また、上級者の中には、あえてここを規定トルク以下で締め付けてサスペンションの動作向上を図られてる方もいらっしゃるようですが、「○○kgmまでなら緩めてもよい」という基準はないので、自信のある方以外は真似しないほうがよいと思います。

ついに完成…(;_;)

まだシュラウドをつけていませんが、フロントフォークアウターの干渉についても問題なさそうです(^^)v

'99 YZ125フロント回り移植完了!トップクランプ周辺

ちなみに、アウターチューブ腐食の回復手段として、再アルマイトという方法もあります。
サスペンションチューニングで有名なスクーデリアオクムラさんに問い合わせてみたところ、「根の深い腐食がある場合、研磨処理しても再アルマイト後にその部分だけ周囲と色が変わってしまう可能性がある。それが一番目立たないのは黒色系のアルマイトであり、今回のような状態のものであればこちらをお薦めする」とのことでした。

引き続き、WR400Fフロントホイールの装着手順や、PRO TAPER/P-3トップクランプのレポートについてもご覧ください。

これでフロント周り一式装着の大体の流れをつかんでいただけると思います!
今後は実走行のインプレッションを掲載していく予定ですのでお楽しみに〜(^‐^)