2006/6/24
腐食によりアルマイトが浮き始めた純正フロントフォークのアウターチューブでした。
「アウターの見た目だけのために、YZの足回り移植!?」と、呆れられてしまうかもしれませんが(^^;)、それはあくまでもきっかけであり目的ではありません。
サスペンションやブレーキの基本性能の向上とアフターパーツ等による将来的な発展可能性、そしてパーツ供給の継続性 etc…と、それらの実現に必要な時間的 ・金銭的コストとを比較衡量した上で導き出した答えです。
今後もモタード仕様を突き詰めていくのであれば、ブレーキ強化なども避けられない命題となるでしょうし、DT純正のサスペンションをモデファイするよりも、YZサスを導入した方が最終的なコストは少なく済むはずです。
腐食が出始めたアウターチューブへの対処法として、当初は、
する方向で考えていました。
ところが、資金が貯まらないうちにヤマハ純正パーツのアウターチューブは次々と生産中止に…残るカラーはブルーと 1型のシャンパンゴールドのみとなり、レッドもしくはグレーを狙っていた私はこの方法を諦めました。
(※最近ヤマハのHPをチェックしたところ、なぜか最終型のグレーは在庫が復活していて、代わりに2型のブルーが販売終了となっていました。)
問題はそれだけではありません。
アウターのみを交換する場合は、ただでさえ高い新品アウターチューブに加えて、フロントフォークのオーバーホール料金が発生するので、時間的、金銭的コストは更に跳ね上がります。
(新品フロントフォークアウター単体で約30,000円×2=約60,000円。これにOH料金が上乗せされると…)
これで単にアウターチューブが綺麗になるだけではあまりにもコストパフォーマンスが悪すぎます(-_-#)
それならばいっそのこと、
してしまってはどうだろうか…?
これならインナーチューブや内部パーツも交換できるので性能を取り戻せますし、オーバーホールも必要ありません。
また、今装着しているフロントフォークを下取り(オークション)に出せるので、最終的なコスト(お金+時間)はアウターのみを交換するよりもずっと良いと思われます。
ですが、新品ですと価格が60,000円/1本もします。
つまり左右で12万円!!…いくらなんでも高すぎです( ー_ー)
それなら、
ほうがいいでしょ??…と思い価格を調べてみると、こちらは更に上を行く90,000円/1本 (゚д゚lll )
…とても新品で買える代物ではありません(-_-;)
仕方ないので、
が、生産中止から10年以上が経過したDT200WRやYZ125で、極美品のフロントフォークなどそう出てくるはずもありませんし、落札のリスクも大きすぎます。
結局こちらの方法も手詰まりとなってしまいました…。
ただ、'90YZ125のフロントフォークをオークションで検索しているときに気付いたことがありました。
それは、
は出品数も多く、価格もそこそこであるということです。
5年くらい経過して、ちょうど需給のバランスがこなれてきた頃なのかもしれません。
そして、
「もし、これを移植できればブレーキ周りも簡単にモタード化できるなぁ…」
などと、よからぬ(?)考えが頭をよぎった次の瞬間、私の手は自分の意思から離れて勝手に動き、移植の可能性をネットで調べていました(笑)
するとどうでしょう、「やってみた」という方は何人かいらっしゃって、しかも「それほど難しくはない」らしいのです!
これは更に調べてみる価値アリかも…と、私も独自の調査を開始します。
'98以降のYZ、YZ-F系のフロントフォークは当然、DT200WRの純正ステムには入らないので、ステムごとの移植となります。
ステムを移植するときに問題となるのは、
の、3つです。
ステムシャフト長については、長すぎであればカラー製作で対応できますが、短すぎる場合はどうにもなりません。
ただ、一般的にはモトクロスレース用に開発されたYZのほうが、上下クランプの間隔を大きく取り剛性を高めているはずなので、YZのステムシャフトが短すぎるということは無いような気がします。
また、ステムシャフト径が同一であれば、ステムシャフトのみをDT200WRのものに打ち換えるという方法もあります。
そうすればシャフト長やベアリングの種類については無視することができますね。
しかし、これに関しては現物を所有しているわけではないので確かめようがありませんし、シャフトの取り外し、圧入については専門の業者に依頼しなければなりません。
あとはハンドルストッパーの位置ですが、これは現物合わせで確認するしか方法はありませんね。
ハンドル切れ角が極端に少なくなると危険ですし、逆にハンドル切れ角が大きくなりすぎると、フロントフォークがラジエーターやタンクに干渉する恐れがあります。
その場合は、ハンドルストッパーの研削や肉盛り加工を施さなければなりません。
基本的には、DTよりもYZの方がハンドル切れ角は大きいはずなので、この点については十分に確認する必要があります。
うーん、とりあえずステムだけでも先に入手したほうが良いということになりますかねぇ( ー_ー)
DT200WRとYZのパーツリストを見比べてみたところ、上下ステムベアリングのうち、アッパーベアリングが同一品番であることを確認!
一方、ロアベアリングのパーツナンバーは異なっていますが近い数字ではあります。
確定的な根拠は何一つありませんが(笑)、なんとなくいけそうな気がしてきました…( ̄ー ̄)ニヤリ
というわけで、YZのステアリングステムをオークションで物色し続けていますが、こちらもなかなか良い出物がありません。
あきらめずに虎視眈々と出品を狙っていたある日、新車取り外しの '99YZ125フロント周り一式(※ホイール、ブレーキは除く)が送料込みで4万円ちょっと&即決価格で出されているのを見つけ、後悔するかもしれないと思いつつも決断。
とりあえずステムを入手するはずが、一気にフロント周り全部を揃えることになってしまいました(^^;)
期待と不安を胸に、商品の到着を待ちます…。
商品到着…
埃をかぶっておりますが、状態は良いようです。
ただ、フォークガードが傷だらけで、何度か使用した形跡が見られます。
どうやら新車取り外しではないようですね…。
まあ、インナーやアウターに錆、深い傷は見当たらないので良しとしましょう。
ステアリングステム周辺の形状はなんとなく、DTのそれと近いような気がします…。
一方、フォークボトムの形状はDT200WRとはだいぶ異なっています。
まず、アクスルシャフトの径が違います(DT200WRのアクスルシャフト径は16mm、'99YZ125は20mmです)し、シャフトの固定方式も異なります。
…まあ、ホイールはYZ系のものを流用するので、ここの共通性は特に問題になりませんが。
フォークボトム周辺を何気なく見ていると、不吉な刻印を発見!!
「5DH」…といえば、'98YZ125の型式ではありませんか!?
これは '98YZ125のフロント周りなのか…!?騙された??と、頭の中はパニック状態 ヽ(`Д ´ )ノ ウワァァァン
急いでパーツリストを確認すると、'99YZ125の左(ブレーキキャリパー側)インナーチューブは5DH('98YZ125)のものを継承していましたが、右(メーターギア側)は「5BF」、つまり'98WR400Fのインナーチューブを流用しているようなのです。
そして、今目の前にあるフロントフォークには左右ともインナーに「5DH」の刻印が…ということは、このフロントフォークは'98YZ125のものである可能性が高いということですね…(-_-#)
'99〜'03のYZ、YZ-F、WR-F系のフロントフォークインナーの品番は、右「5BF-23110-L0」、左「5DH-23120-L0」で全て共通であることは確認済みです。
今回はメーターギア取り付けのため、'00WR400Fのフロントホイールを流用するつもりでしたが、'98YZ125は右ホイールカラーの品番も異なっているので、WR400Fのホイール(特にメーターギア)が流用できるかもちょと微妙になってしまいました…。
ところが、実際に '00WR400Fのホイールとホイールカラー、メーターギアを合わせてみると、問題なく装着できてしまいました。
それどころか '98YZ125の右ホイールカラーを注文して、装着確認を行ってみたのですが、むしろカラーの長さが合いません…(?_?)
※左(短い方)が'98YZ125、右が'99以降のYZ・YZ-F系用
'99YZ125と WR400Fはフロントフォーク関係のパーツはほぼ共通ですので、カラーを含めたホイール全幅は同一であると推測できます。
一方、'98YZ125は '99YZ125とホイールハブが共通(4SS-25111-00)で、ホイールカラーの長さが異なっているので… → ホイール全幅が異なる → WR400Fのホイール全幅とも異なる → '98YZ125のフロントフォークには、WR400Fのホイールは適合しないはず、と考えられます。
ということは結局、このフロント周りは '99YZ125のものと結論づけても良いということなのでしょうか…。
自分に都合の良いように考えているような気がしてどうも腑に落ちませんが(^^;)、データ上は問題ないようですね。
ただ、右側インナーボトムの「5DH」刻印についてはまだ説明がついていません。
ヤマハは形状だけを変更して、刻印はそのまま使ったのでしょうか。
実車を確認できればすぐに白黒はっきりするのですが。
…というわけで、'99YZ125に乗られている方のご連絡をお待ちしております!(笑)
今度はアンダーブラケット裏側にスタンプを発見!
日付のスタンプらしく、「10.8.19」と記されています。
素直に読めば「平成10年 8月19日」と読めますね。
平成10年といえば西暦1998年、つまり1998年の8月に作られたものと推測できます。
ということは…少なくともこのステアリングステムは '99モデルのものであるということでしょう。
それでもフロントフォークだけを '98のものに挿げ替えてある可能性はやはり否定できません(笑)
またまた刻印を、今度はトップクランプ裏に発見!!
「4XJ」とは…1994年モデルのYZ250の型式です ( ̄ロ ̄;)
ちなみに '98YZ125のトップクランプの部品番号は「4SS-23435-00」です。
つまり、刻印は「4SS」でなければおかしいということ…?
うーん、寄せ集めのフロント周りのような気がしてきたなぁ(;_;)
…と、いったところで第一幕の「事前準備篇」は終了です。
この後も、ディメンション比較がメインの「計測篇」、そして実際の装着作業を実況する「実作業篇」と続きますので、どうぞお楽しみに(^^)