2006/12/29
YZのようなレーサーに採用されている「両端開放タイプ」のアクスルシャフトは、固定時にホイールのセンターがずれたりフロントフォークが捩れたりしやすいため、装着に少々コツが要ります。
…なんて偉そうに言ってしまいましたが、コツといってもボルトの締め付け順に注意するだけのことです。
コツというよりは注意点と言ったほうが良いのかもしれませんね(^^;)
なお、DT200WR純正のアクスルシャフトは「ねじ込み式」のため、締め付けトルクの管理さえしっかり行っていれば歪みやねじれが生じることはまずありません。
フロントホイールを仮組みする前に、アクスルシャフトにモリブデングリス等を薄く塗っておきます。
これは全車共通の基本事項で、アクスルシャフトの固着防止が目的です。
まあアクスルシャフトに関してはタイヤ交換などで取り外す機会もそれなりにあるため、固着することはまずありませんが、ほとんど取り外す機会のないピボットシャフトなどは固着させてしまった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
もちろん私もその中の1人です(笑)
固着がひどくなると、ちょっとした振動や衝撃+浸透潤滑剤も効果がありません。
ピボットシャフトを親の敵に見立てて、力任せに打ち抜きます。
教科書(?)上は、フレームやスイングアームピボット部にダメージを与える恐れがあるのでシャフトはハンマー等で叩いたりしてはいけないことになっていますが、現実にはこれ以外に方法は無いと思われます。
スイングアームピボット部ごとシャフトを切断する、なんて究極の方法もあるらしいですけど(-_-;)
…結局何が言いたいのかというと、長い間ピボットシャフトやアクスルシャフトを抜いていない、または抜いたことがないという方は、まだシャフトが抜けるうちに一度グリスアップしておくことをお勧めします、ということです。
本当は、新車で購入したときにシャフト関係のグリスアップを済ませておけば、このようなトラブルは未然に防ぐことができるのですけどね。
…話しが逸れてしまいました。
実際にフロントフォークにホイールを装着していきます。
フロントホイールにはあらかじめ、メーターギアとホイールカラーを取り付けておきます。
左右のオイルシールとホイールカラー、ハブのメーターギア受け部にシリコングリスを塗布しておきましょう。
特にメーターギアのオイルシールにはたっぷりと塗り、シールリップを痛めないように慎重に装着してください。
ハブ側のメーターギア受け部には、加工時に生じた「バリ」が残っていることがあるので、装着時にオイルシールリップに当たる部分をヤスリ等で軽く面取りしてから装着することをお勧めします。
ブレーキ側ホイールカラーはくるくると回転させながら、シールリップを反転させないように入れていきます。
1人で作業をするときは、木の板を何枚かタイヤの下に入れるなどして、ホイールの位置を調節してからシャフトを通すと良いでしょう。
フロントフォークにシャフトを通すことができたらまず、
1. 右側アクスルホルダーを仮締めします。
ここでいう左右は、バイクの進行方向に対しての右、左です。
次に、
2. アクスルナットを仮締めします。
こちらはそれなりにトルクを掛けないと、正しいホイールセンターが出ないので注意してください。
「それなりにってどれくらい?」と聞かれるとちょっと苦しいのですが…そこは適宜ということで(^^;)
3. 左アクスルホルダーを本締めします。
締付トルクは2.3kgmです。
4. アクスルナットを本締めします。
こちらは10.5kgmの締付トルクが指定されています。
最後に、
5. 右アクスルホルダーを本締めします
が、その前に一度、バイクをメンテナンススタンドから下ろしてフロントブレーキを握り、フロントフォークを数回作動させてフロントフォークボトムとアクスルシャフトを馴染ませておくと良いそうです。
より正確性を求めるのであれば、スタンドに乗せた状態で左アクスルホルダーを少し緩め、左フロントフォークボトムを左右に動かしてその中心を探ります。
アクスルホルダーボルトの締付トルクは2.3kgmです。
あとはフォークガードを取り付けるなどして…
(フォークガード取り付けボルトの締付トルクは1.0kgmです。私の所有するトルクレンチの最小計測値を下回っていますので、ここは感覚で締め付けました。)
これでWR400Fフロントホイールの取り付けは完了です!
更に、フロントフォークを固定するときの順序と合わせてご覧いただくと、フロント周りのボルト締めの一連の流れが分かっていただけると思います。