brake parts / ブレーキ

2007/3/13

'05 YZ250F 純正ブレーキ一式を移植

  • ◇ このパーツの満足度 → 85/100
  • ◇ 取り付け難易度 → 簡単(フロント周りがYZ125なので基本的にはボルトオン…)
  • ◇ 必要な特殊工具および加工 → 必要なし

サスペンションの次はブレーキ強化に着手

 YZフロントフォークの換装を終え、次はモタード用大径ブレーキキットを導入する算段でしたが、資金不足+ベルリンガーラジアルマスター14Φ の発売待ちのため、まずはYZ純正のブレーキシステムを入れることにしました。
 YZ125フロント周り+YZ純正ブレーキの実力を試してみたい気持ちもありますしね(^^)

年式間の互換性は…?

 まずはブレーキディスクです。YZは'01モデルからフローティングディスクを採用しており、流用も可能のようなので、こちらに変更したいところです。(※マイナーチェンジ前後でディスク径とP.C.D.が同じであることは確認済みです。'00WR400Fのフロントホイールハブにも流用は可能でしょう。)

 ただ、値段が高く(12,390円)、かつメーカー在庫切れ中とのことだったので、少し悩みましたが、すぐに入手できる '00以前のリジットタイプに決めてしまいました。こちらは7,959円とかなりお買い得です。
 あくまでも大径ブレーキキット導入までの「つなぎ」で、新品を買う必要性は全くないのですけど(^^;)

 また、ディスク以外のブレーキ一式は、先にオークションで'02WR250Fのものを落札しておりましたが、今回ちょうど良いタイミングで'05YZ250F用の新古品が15,000円でオークションに出品されているのを見つけてしまい、勢い余ってこちらを追加購入してしまいました。

 ※'04以降のフロントブレーキはブレーキホースの取り回しなどが変更されていますが、パーツリストを見る限りでは互換性に問題はなさそうです。
 → '05YZ250Fのフロントブレーキは '99YZ125フロントフォークにも問題なく装着でき、また'00以前のリジットディスクとのマッチングも◎でした(^^)

 年式の異なる2つのブレーキを入手したので、せっかくですから(笑)両者を比較してみましょう!

変わったのはホースの取り回しだけ…?

 一目で分かる違いはブレーキホースの長さですね。

ブレーキホースの長さが異なる

 右上の長いほうが'02WR250Fのもので、短い方が'05YZ250Fです。

 この違いはブレーキホースの取り回しが '05以降から変更されたことに伴うものでしょう。
 マイナーチェンジ前のブレーキホースはフロントフォークボトムの前面を通していましたが、MC後はホンダのCR方式(ブレーキキャリパーから真っ直ぐ上にホースを延ばすタイプ)を採用しています。
 ヤマハのコメントによれば、この変更(ブレーキホースの短縮)によりブレーキタッチのダイレクト感がより向上しているそうです。

 次にブレーキキャリパーですが、こちらは外側から見る限りでは大きな変更は特に無いようです。

キャリパーは同一品?

 右の '05 YZ250Fのキャリパーサポートには、ホースを垂直に持ち上げるため?のホースクランプの台座が見られますが、キャリパーボディやサポートの基本形状に変更はなさそうですので、このまま '99のフロントフォークにもボルトオン装着可能でしょう(^^)

 マスター周辺のパーツは一部変更されているようですが、 '02 WR250F側に欠品があるので完全な比較はできません。

マスター比較

 画像では分かにくいですが、レバーホルダーと一体型のマスターシリンダーボディの形状が少し違いますね。
 よく見ると刻印が '02 WR250F(下)が「1-A-3」なのに対し、'05 YZ250F(上)は「4-S-3」となっています。

 またパーツリストを見ると、リザーバータンク内のダイアフラムも変更されており、この変更は '04モデルから行われていることが分かりました。

ここまでのまとめ

 以上の結果をまとめると…'02モデルと '05モデルでは「ブレーキホースの取り回し方の違いによるホースの長さ」以外に特に目立った変更は無く、どちらも '98以降のYZフロントフォークにボルトオン装着可能である。また、'04モデルからマスターシリンダーボディに小変更を受けているが、装着に支障が生じるようなものではない、といったところでしょうか。

 安心して装着作業に取り掛かれそうです(^^)v

ところが一つ問題が…

 YZのブレーキにはブレーキスイッチがありません。公道で使用する場合ブレーキスイッチは必須です
 WR-F系の公道仕様車に装着されるベルガルダヤマハ?のキットに、機械式?ブレーキスイッチの設定があるようですが、スイッチ単体ので入手は容易ではないでしょう。
 手軽に入手でき、装着も簡単な油圧式ブレーキスイッチが各社から発売されているので、今回はこちらを利用することにします。

 スイッチはDRC製をチョイスしました。

DRC油圧ブレーキスイッチ

 DRCのブレーキスイッチには2種類あり、バンジョーボルトのヘッドにスイッチ機構と配線が組み込まれているタイプ(バンジョーボルトタイプ)と、バンジョーとバンジョーボルトの間にワッシャのように挟みこむタイプ(バンジョータイプ)から選択できます。

 見栄えも収まりもワッシャ型が断然上なのですが、在庫確認を取ったところ「不具合が発生したためメーカー回収中です」との回答でした(-_-;)

 他メーカーのものから選ぶという選択肢もありましたが、私が調査した限りではDRC製のバンジョーボルトタイプが最安値(2,415円)だったので、こちらにしました。

DRC油圧ブレーキスイッチDRCブレーキスイッチユニットと純正バンジョーボルト

 まあ、あくまでも大径モタードブレーキキット導入までの「繋ぎ」ですから、多少の見た目の悪さは我慢しましょう(^^;)

 ストップランプの配線は純正を残してあるので、こちらに接続するだけでOKです(^^)

 バンジョーボルトを交換するので、ブレーキフルードも用意しました。
 DELPHI(デルファイ)のDOT4です。

DELPHI/ブレーキ&クラッチフルード

 値段は忘れましたが、どこかのセールでものすごーく安く売っていたものです。

※ブレーキフルードについてひとこと

 DOT規格は、それに続く数字が大きいほど沸点が高い=耐フェード性能が高く、DOT5が最高位です。
 しかし最近(でもないか…)「DOT5.1」という表記のフルードを見かけるようになりました。これはDOT5よりも高い性能を持つフルード…ではありません。

 DOT5とは、DOT4を制定した当時、その基準値を大きく上回る性能を有していたシリコン系のフルードのために設定した規格でした。
 つまり乱暴に言えば、当時はDOT4までがグリコール系で、DOT5はシリコン系という分類ができたということです。
 ところが最近、グリコール系のフルードでもDOT5の基準値を上回る性能を有するものが開発されたため、混同を避けるためにグリコール系については「DOT5.1」と表記するようになったそうです。

 ここで気をつけなくてはならないのは、ご存知の方も多いと思いますが、ベースの異なるブレーキフルードを混合してはいけないということです。フルードが凝固、分離する恐れがあります。
 ベースの異なるブレーキフルードに交換する際は、新しいフルードをそのまま継ぎ足すのはもちろんNGですが、古いフルードを全て抜いてから入れる場合でも、ただブリーダーから抜いただけでは、古いフルードは少なからずラインに残っていることに注意してください。

 それくらい全く問題ないとおっしゃる方もいますが、面倒でもラインを水で洗浄する、もしくは交換を諦めて同じベースのフルードを利用するほうが賢明だと思います。
 DOT4グリコール系からDOT5にグレードアップする時はDOT5.1を選択すればよいのであまり問題になりませんが、DOT5シリコン系フルードから対候性を上げるなどの目的でDOT4に落とす時は要注意です。

 公道走行が基本であればDOT4で十分です。DOT5にする意味はあまりありません。

 …話が逸れました(^^;)
 それでは実際の作業に移ります。

バンジョーボルト交換

 まずは前準備です。
 キャリパー(というか床)を保護するためニット帽で包んでいます(^^;)

バンジョーボルト交換準備

 エア噛みをできるだけなくすため、マスターは一番高い位置にセットします。

ブレーキフルードの受け皿も準備

 ブレーキフルードがあふれた時のために受け皿も用意しました。

 それでは作業を開始しましょう。
 まずは純正のバンジョーボルトをゆっくりと抜き取ります。

ボルト交換

 マスターから切り離したブレーキホース先端を一番高い位置に持ち上げた状態で固定しておきます。

ブレーキホースは先端を一番高くして…

 肝心のブレーキフルードは…

特に溢れては来ず

 一滴もあふれませんでした(^^;)

※私と同じようにYZフォークにDT純正のライトカウルを流用している方

このときブレーキホースにDTの純正ブレーキホースガイドを通しておくと後で良い事があります(^‐^)

DT純正のブレーキホースガイド

 ただし、YZ外装を流用する方はYZ用ガイドをそのまま通しておきましょう。
 理由は後ほど (^^)

 あとは銅ワッシャを新品と交換し、バンジョーボルトの代わりにブレーキスイッチユニットを挿入するだけです。

ブレーキスイッチユニットはとりあえず仮締め

 マスターを固定した状態でなければバンジョーボルトの本締めは難しいので、ここではとりあえず仮締めにとどめておきます。

 このときエアが混入したとしても、マスターシリンダーのすぐそばですのでエア抜きは簡単です。
 マスターシリンダー側にエアを誘き出し、何度かポンピングするだけでたいていは抜けるはずです。
 取り付け前にポンピングする場合はブレーキパッドの間に木の板やブレーキディスクなどを挟んでから行いましょう。

 次はいよいよ車体への装着です。

1. マスターシリンダーボディ

 まずはマスターシリンダー本体を装着します。
 装着自体に特に難しいことはありませんが、重大な問題が…。

 あらかじめ予想はついていましたが、ブレーキスイッチユニットのヘッドの張り出しが大きすぎてUFOオクラホマハンドガードに干渉してしまいます(;_;)

オクラホマブッシュガードに干渉する…

 結局ハンドガードは外すことにしました。
 ラジアルポンプ対応のハンドガードが欲しいなぁ…(-_- )

 更に、ブレーキレバーのダストブーツもスロットルホルダーに微妙に干渉してしまいます…

ダストブーツがスロットルホルダーに微妙に干渉

が、特に支障は無さそうなので、とりあえずこちらは見て見ぬ振りです(^^;)
 ハイスロ化によりスロットルホルダーがDT純正より大きくなっているので尚更ですね。

 マスター本体を固定したら、ブレーキスイッチユニットを本締めします。

ブレーキスイッチユニットを本締め

 製品独自のトルク指定は特にないので、純正バンジョーボルトの締め付けトルク、2.6kgmに従います。

 ブレーキランプの配線を接続します。

市販のカプラーを使用して取り付け

 いつでも取り外しできるように、市販のカプラーを使用して取り付けました。

市販のカプラーを使用して取り付け

2. キャリパーボディ

 キャリパーボディの装着については全く問題ありません。
 '99 YZ125フロントフォークとブレーキディスクにも完全ボルトオンです(^^)v

キャリパー取り付けボルトの締め付けトルクは2.3kgm

 キャリパー取り付けボルトの締め付けトルクは2.3kgmです。

3. ホースの取り回し

 最後に、今回一番の懸案であったホースの取り回しですが、こちらも無事解決できました(^‐^)

 最初は '05モデル以降用のフォークガードが流用できないことから、'04以前の左フォークガードに一体形成されているホースガイドをどうするかでかなり悩みました。
 '05YZのようにフロントフォーク内側から引き回すことができればベストですが、'04以前のガードのガイドでは固定が不十分であり、フォーク内側を通すのは危険かなと。

 そこで、'04以前のガードのガイドを、一部を残して削り取り、そこに '05以降用のホースクランプ(金属板2枚で挟み込むタイプ)を取り付けできないだろうか?と考えましたが、仮に取り付けできたとしてもベース部分の強度が心配ですし、また見た目もあまりよろしくなさそうですね…。

 というわけで、普通に外側を通して固定してみると…

ブレーキホース取り回し(前から)ブレーキホース取り回し(横から)

 思っていたほど見た目はおかしくなりませんでした(笑)。むしろすっきりと収まっています。
 残るは上部のアンダーブラケット共締めホースガイドの処理のみですね。

 さて、先ほど「ブレーキスイッチユニット取り付け時に良いことがある」とお伝えしていたその意味は…

 実はYZのホースガイドではDT200WRのフロントカウルに干渉してしまうのです ヽ(`Д ´ )ノ ウワァァァン

YZのホースガイドはDT200WRフロントカウルに干渉するが…

 …って、YZフロントフォークにDTの外装を取り付けている私が悪いのですけど(^^;)

 しかし、ちょっと発想を変えてDTのホースガイドを取りつけてみると…

DTのホースガイドを流用すれば干渉しません

 このようぴったり収まります!

 ただしDTのホースガイドには切れ込みがないので、ブレーキホースをキャリパー、マスターに接続する前に通しておく必要があります。
 ブレーキスイッチユニットに交換するついでに通してしまいましょう(^o^)

 これで '05 YZ250F フロントブレーキ一式導入が完了しました。
 ブレーキスイッチの問題が少々厄介ですが、基本的には全てボルトオン装着可能ですし、ディスクをフローティングタイプに交換するオプション選択も可能(笑)と、なかなか有意な流用であると思います。
 あとはその性能だけですね!

 というわけで、次回はそのインプレッションを報告したいと思います!

インプレッション

 今までが、約13年間無メンテナンスの純正ブレーキだったせいもありますが(^^;)、とにかくタッチが気持ちいい!
 適度なカッチリ感、コントロール性…「ブレーキディスクを指で掴むような感覚」とはまさにこのこと!?
 …というのは少々大げさかもしれませんが(笑)、それくらいの劇的な変化が生じました。

 今回は、マスターシリンダーおよびシール類がほぼ新品に置き換わったことによるものが大きいと思いますが、レーサーのケブラー製ブレーキホースも、このタッチの向上にかなり寄与していると思われます。
 「ケブラーホースはトレールのゴムホースほど簡単には膨張しないが、ステンレスメッシュホースほどガチガチでもない。この適度な剛性がストリートに向いている」と、一般的に言われています。
 ノーマルDTのブレーキシステムも、ホースをレーサーのケブラーホースに交換するだけで(移植可能なホースを探すのが大変ですが…)随分タッチが良くなると思いますよ(^^)
 ただし、交換作業は信頼できるショップに任せましょう。

 とにかくYZ純正があまりにも良い感触なので、これ以上ブレーキをグレードアップする必要性を感じなくなってしまいました(^^;)
 むしろ変に、320mmディスク+対向4podキャリパー+ステンレスメッシュホースなどに交換してしまうと、硬すぎるタッチ、バネ下重量の増加など、デメリットばかりが目立ってしまいそうです。
 今後のブレーキシステムの変更については、現在のブレーキの様子を見ながら再検討していきたいと思います。