DT200WRのエンジン性能について簡単に解説します。その他詳細なスペックについては別記しました。
(※数値および図表は当時のカタログを参照)
DT200WRのカタログ上の性能は、'91発売の3XP1から最終モデルの3XP5まで、全モデルを通して変更はありませんでした。
ただ、第2章でも述べたように、エンジン特性などには多少変更が加えられています。
最高出力35PSは当時の単気筒200ccエンジンとしては優秀であると思います。
しかし、次のDT230LANZAが230ccで40PSに達していることを考えるとDT200WRも37PS位は…!? なんてDT200WRからDT230LANZAまでの6年間の技術進歩を無視して考えてしまう私です。
それにしても綺麗なパワーカーブですね。これがオフにおけるDT200WRの強さの秘訣でもあるようです。
人によっては2stらしいパンチに欠けるエンジンだと仰る方もいるようですが(^^;)
一方、最大トルクは3.0kgmですが、この値は少し物足りないような気がします。
単純に排気量の割合で考えると、LANZAのトルクが排気量230cc(正確には224cc)で3.7kgmであり、他の250cc、2st車はおおむね4.0kgmであることから、200ccでしたら3.4kgmはいけた計算になります。
トルクは馬力と違い基本的にほぼ排気量に比例するはずです…。
(※ '89発売の、初期型CRMのスペックを見たところトルクは3.4kgmでした。'91モデルで3.7kgmでしたから、DTのトルクも妥当なところなのかも知れません)
そして実際に、CRM250ARやRMX250Sが相手では、舗装路面における加速競争では分が悪い、というかほぼ間違いなく完敗(ノーマル比較)です Σ(゚д゚lll)ガーン。
この排気量50ccの差は埋めがたいものがありまして、もし2stオフを購入しようと考えていて、用途がモタードや街乗りのみであり、マシンパワーを最重視するという方でしたら、「それでもDT-WRがいい!」というこだわりがある人でなければ素直にCRM250ARやRMX250S等を購入した方がよいかも知れません。あとで後悔することになるかも…。
ちなみに私は、CRMに信号ダッシュで何度負けようとも全く後悔はしていません!
このスタイルに惚れてこのバイクに決めたのですから(^^)
でもちょっと…悔しい ( ´Д⊂
もちろんフィールドをオフに移せばDT200WRのマシンポテンシャルは250ccフルサイズはもちろん、他の2stオフロードバイクにも全く退けを取りません(上回っている!)ので、オフで使いたいと考えている方はどうぞ安心してDTオーナーになってください(^‐^)
次は、前モデルのDT200R(3ET)とDT200WRのエンジン出力特性を比較したグラフです。
DT200RからDT200WRへの進化に伴い、このようにカタログ上のエンジン性能も向上しています。
低回転域を犠牲にせず中〜高回転域にかけてパワー、トルク共にまんべんなく上乗せされ、パワーバンドも広がりました。
これはボア径の拡大により排気量が増大した(※下記参照)ことや、次章で詳しく述べますが、3倍速YPVSの採用、セミフラットバルブ採用のTMキャブレーター、リードバルブの大型化やエアクリーナーボックス容量の拡大など、吸排気系その他多岐にわたる改良により実現されました。
特に3倍速YPVS等はカタログ上には表れない、スロットルレスポンスといった性能の改善にも貢献し、DT200Rベースのエンジンはオフロード走行でより扱いやすいものへと進化したのです。
と、フルサイズ化されたことにより、同じ「DT200」ではありますが、排気量は5cc弱アップしました。
最後に走行性能曲線図です。
カタログに載っていてもほとんど注目されることはありませんし、最近のカタログではもう載せられること自体少なくなってきました。
正直なところ私もこの図の見方、いまいちよく分かっていませんでしたが、このサイトを制作するにあたり多少勉強しましたので詳しく知りたい方、興味のある方はこちらも読んでみてください。
グラフ上の最高速度はノーマル状態で145km/h 弱(6速)といったところでしょうか。
まあレース以外で、オフ車でここまでスピードを出す人はあまりいないと思いますけど…。
さてこのグラフ、確かに存在は薄いのですが、実はいくつか使い道があります。
例えばこのグラフを参考にしてシフトチェンジポイントを探ることができます。
具体的には、あるギアの駆動力曲線と、隣り合うギアの駆動力曲線が交わる点の速度、エンジン回転数をシフトポイントとして利用します。
詳しい内容についてはこちらをご参照ください。
この方法の利点は、DTのようなタコメーターのついていないバイクにも使える点です。
まあ、乗り慣れてしまえばいちいちスピードメーターでシフトアップのタイミングを計ることの方が面倒なのですけどね(笑)。オフロードのアタック中にそんなことをいちいち考えている人もいないでしょうし(^^;)