2005/8/9
DT200WRのシート形状は特殊で、一枚皮での表皮張りが困難であることは簡単に想像できます。
そのため、表皮の製作のみ業者に依頼して立体裁断ものを作ってもらい、自分で張ろうかと考えていましたが、自分が求める色の表皮を扱っている業者が見つからず、また先の失敗の件もありますので(^^;)、今回はシート表皮から自分で調達することにしました。
実家にミシンがあるのでこれを使って立体裁断にすることも考えましたが、防水性と仕上がりの観点から結局、一枚皮での張り替えを選択しています。
もし立体裁断にするのであれば、古いシートを型紙にして新しい表皮を切り出すと良いでしょう。
用意するものは、タッカーと張り替え用レザー、あとはシートベースです。
タッカーはホームセンターで398円、替針198円、レザーは東急ハンズで1,764円/1m(幅90cm)を50cm、882円で買いました。
シートベースは今使っているシートから流用します。
皮にはよく伸びる方向とあまり伸びない方向があり、どの方向で使えばよいかは試行錯誤の末、斜め方向(45度)に皮が伸びる方向を持ってくると一番張りやすいという結論に達しました。
大きめに切り出してもらえばどのような方向でも使えますが、私はケチって小さく購入です(^^;)
穴を開けてしまったり、伸ばす方向を間違えた時のことを考えて、最初は少し大きめに購入した方がよいかも知れませんね。
ちなみに色はエンジです。
店頭で見たときは少し暗すぎるかと思ったのですが、実際にバイクに合わせてみるとイメージ通りの色合いでした!この色はかなりお気に入りです (^^)
まずはベースとなるシートの表皮を剥がします。
ウレタンの状態はまずまずですが、シートベース裏のタンクとシートベースを引っ掛けて固定するフック部分のウレタンは直にウレタンが露出しており、そこが表面に達するまで劣化していました(※上写真参照)。
さらに予想外の問題が…。
今回使用する表皮が薄く、ウレタンが劣化している部位や前のシート表皮の「跡」などの凹凸がくっきりと浮き出てしまいました。
少々見苦しいので、今回はその対策として、薄いスポンジシートをウレタンの上に貼り付け、その上からシート表皮を貼り付けるようにしています。
これで凹凸はほとんど目立たなくなりました。
次に新しい表皮を合わせてみます。
全体がうまく隠れる位置を探して、シート中央部分をまずは仮止めします。(画像無くてすみません…)
いくら仮止めといってもあまり余裕を持たせすぎると、後半皺(しわ)を伸ばしきれなくなって失敗します。(こちらも画像が無くてすみません…)
シート中央を留めたところで、今度は前後方向に徐々に皮を引っ張りながらタッカーで留めていきますが、ここで気をつけるべきは、単に皮の端を引っ張りながら留めていくだけでは不十分であるということです。
皺を取り除くには、一旦仮止めした後、表皮を手で強く撫でるようにして外側に皺を押し出し、出来るだけ皮を伸ばした位置でまた留め直す、を繰り返すことが必要です。
最初のうちはいくらやっても皺が取れる気配すら無く、挫折しそうになりますが、根気よく続けましょう!
DTのシートは、ただでさえ長いオフロードバイクのシートの中でもとりわけ前後長があるため、他の一般的なバイクのシート表皮張り替えよりも数段苦労します。
面倒でも1回目は完全に仮留めと割り切り、そこから全体的に、徐々に皺を伸ばしながら本留め…というやり方でなければ、一枚皮でこのシートを綺麗に仕上げるのは難しいと思います。
ただ、この段階でいくら綺麗に皺を伸ばしても、使用により皮が馴染んでくるとまた新たな皺が生じるので、逆に言えばここでそれほどシビアになる必要はない、とも言えます。
しばらく実際に使用してみて、皺が生じたらまた部分的に張り直せば良いのですから。
タッカーを使うときのコツは、針を打つときにできるだけ垂直に、そしてタッカーを強くシートベースに押し当ながら打ち込むことです。
上の写真のように、ただ載せて打つといった程度ではいけませんね、これは悪い例です ヾ(-_-;)
ただ、このコツさえしっかり守れば、398円のタッカー(ホッチキスと兼用の製品…その程度のものです)でもシートベースをしっかりと打ち抜けます。
タッカーは、5,000円とか10,000円とかのプロ用のものでなければ使えない、とおっしゃる方もいるようですが、少なくとも私のDT200WRのシートベースなら、この398円タッカーでも難なく打ちぬけます。10中9以上成功しますよ。
それでも心配…しかし安く済ませたい!という方は、針だけでもMAX製等の高級なものを使うという手もありますね。
それからもうひとつ、針は脚長が短いものを選んだ方が良いでしょう。
6mm、8mm、10mmあたりが一般的ですが、私は6mmの針を使っています。
その方が打ち込みやすいというのもありますし、シート前部の、ウレタンが薄くなっている部分に打ち込むときも針が飛び出したりすることもありません。
強度不足を心配する方もいらっしゃるかと思いますが、実は純正シートの針の脚長も6mm位だったりするので全く問題ないでしょう。
針の幅に関しては幅広の方が、シートベースに表皮を押しつける部分の面積が大きくなるので良いです。
針穴から表皮が裂ける…というトラブルが少なくなりますね。
まあ、針を打つ間隔を狭くして数を多く打てば、一つの針にかかる力が分散されるので、上述のトラブルは回避できると思います。
…特に苦戦するのはシート前方の「U」字型の部分でしょう。
はっきり言ってここは柔軟性のあるレザーでなければかなり苦しいはずです。
私が使用したかなり薄めで柔軟性のあるレザーでもギリギリでしたから…。
ここもやはり、少し皺になっても良いからとりあえずレザーを張ってしまい、しばらく使用してレザーが馴染みちょうどよく伸びてきた頃に部分的に張り直して皺を伸ばす、という手段を採った方が良いかも知れません。
余分なレザーは邪魔になりますので切り取りながら進めても構わないのですが、皮を伸ばす方向等によっては面積が足りなくなったりすることも考えられますので、様子を見ながら進めてください。
完成後の写真です。
私は1度目は失敗して(カッターで穴を開けてしまいました…)、2回挑戦しましたが、1回目は2時間半くらい、2回目は1時間くらいの作業時間でした。
苦労はしましたが最終的にはそれなりに満足できる出来に仕上がりましたよ!
コストはレザーの値段に左右されますが、概ね2,000円以下で可能でしょう。
シーズン途中から街乗りで数十回使用しましたが皮の耐久性については今のところ問題ありません。
しかし純正の表皮と比べると明らかに耐久性は無さそうですから、オフロードなどでのハードな使用にはちょっと耐えられないかも知れませんね。
また、先程も述べましたが、皮が馴染んでくるとどうしても皺が発生します。
逆にいえば、最初はそれほどシビアに張る必要はないということでしょう。
更に継続して使用し、その後の状態をこのページで報告していきたいと思います!
激しいライディングの後は部分的に皺が寄りますが…
全体的に常にたるみっぱなしなる、ということはありません。
1年目のシーズンオフに部分的に張り直したところ、2年目以降はほとんど皺は寄らなくなりました。
まあ部分的な張り直しはごく簡単ですので、伸びてたるんできたらまた引っ張ってやればよいのです(^^)
なお、気になる革の耐久性ですが、街乗りに限って言えば特に問題は無いでしょう。
確かに純正に比べると傷は付きやすいですが破れることはなく、2年間使用しましたが色あせ、色移りもほとんどありませんでした。
柔軟性重視のこの革でもここまで耐えられるのですから、サンゲツ等のより丈夫な革は、純正並みの耐久性を有していると考えても差し支えないでしょう。
今回張り替えに挑戦してみて分かったこと。それは、DT200WRの自作シート表皮張り替えを一枚皮で行う場合、表皮に使うレザーはとにかく柔軟性重視であるということです。
耐久性と柔軟性は基本的に反比例するのでその分耐久性は落ちますが、柔軟性が無いとまず張り替えること自体できないですからね…。
例えば、自作シート張り替えを行っている方々に人気の「サンゲツ」のレザー。この製品は多くの方々がその耐久性を認めており、またカラーも豊富ということもあって私もこれを使うことに決めていましたが、実物を触ってみるとDT200WRには柔軟性の点でちょっと厳しい感じがしたので諦めたという経緯があります。
これで張るのも不可能ではないと思いますが、ウレタンの端の方などは強く締め付けられて変形してしまうのではないでしょうか。
挑戦した猛者がいらっしゃれば是非その結果を聞きたいです…いけそうなら私も真似したいので(笑)
もちろんDT200WR以外のシート表皮張り替えには「サンゲツ」のレザーはお薦めですよ〜。
【結論】 形状が複雑でないシートであれば表皮は自分で張り替えましょう!
業者に頼めば1万円前後はかかりますが、自分でやれば、皮の値段によりますが、タッカー代を含めても 2,000円以下で済みます。
作業内容も特に難しい技術を必要とするものではなく、コツさえ掴めば誰にでも出来ますよ〜(^^)
テキトウな仕事をする業者よりも、時間をかけた素人の方が仕上がりが良いということも当然にあり得えますし(^^;)、何といっても皮の色も自分で見て決められるのが良いですね。